評価:★★★★☆ 4.2
<第六回ネット小説大賞で受賞。ツギクルブックスさまより出版が決まりました。
書籍版のタイトルは『リオンクール戦記』となります>コミカライズ版も月刊キスカ誌上での連載中。
平凡な人生を歩んだサラリーマン田中。
彼は41才という短い人生を終えた……はずだった。だが気がつけば、彼が立っていたのは『中世ヨーロッパ風』の世界だった。
中世とは暖炉も無く、食事は手づかみ、挙句の果てには都市で豚を放し飼い……豚は何を食べてるのかって? ウンコですよ。田中はこの厳しい世界で、「バリアン・ド・リオンクール」として第二の人生を歩む。
平凡なサラリーマンは生き残れるのか?※14話辺りからエグいと言われます。苦手な方は御注意ください。
ツギクルでも掲載中。
話数:全166話
ジャンル:エピック・ファンタジー
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:中世
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
異世界に転生して云々から始まると薄めたカルピスみたいなのを期待してしまうが、この小説から漂うのは獣肉を煮出したような濃い獣臭である。とにかく臭くて汚い。読み進めていくうちに、徐々に現代人の感覚から脱却し当世の英雄へと精神構造が変わっていく主人公から目が離せなくなるだろう。食事から暴力に至るまでとにかく獣臭いが、それが戦記物として良い味付けとなっていて面白い。武略謀略と乱世における男の生き様に興味があれば、是非目を通していただきたい。きっと時間を忘れて読み進めてしまうことになるだろう。
主人公は異世界転生で生まれ変わった元 家族持ちのおっさん ここまでは良くあるお話その他と違うのは 魔法もチートとスキルも何にも無いゼロどころか言葉すらわからないしかも産まれたての赤ん坊 まさにマイナススタートであるしかも良くあるチート物の異世界ワールドと全く違う下水もねえ上水道もねえ医者も薬も何にもねえ気持ちいいくらいの文明の遅れ加減 主人公が稼ぐ為には他人から分捕るしか無い最後に国を分捕ると決めた時 主人公は前世と決別し未来に生きる
未来から過去に行けたならば、私はきっと偉大な存在になれる。そんな冥い願望を、貴方は抱いてはいないだろうか。この記憶を保ったまま、最初から人生をやり直せたならば、きっと今より上手くやれる。そんな甘やかな絶望を、貴方は抱いてはいないだろうか。だけれども人生は、それほど優しくも無く、易しくも無い。何時も等身大の困難を貴方に与えるのが、人生と云う理不尽なのだ。それでも、彼は生きる。再び与えられた人生を、謳歌する。彼は生く。何故、か。生まれたからだ。なんと不幸にも、彼は、この世界に産まれてしまったのだから。だから、獅子心王は征く。この人生を、貫くのだ。貫いて、全うするのだ。今度こそ。ならば貴方は、獅子心王を見よ。なんとなれば、それが貴方自身なのだから。だから貴方は、リオンクールの生き様を見よ。だってそれが、人間と云う存在そのものなのだから。
圧倒的なリアリティと壮大な世界観で描かれた本作。綺麗事ばかりでは世界は成り立たないという強烈なメッセージが込められております。しかし文体は平易で、一見すると残酷なシーンも、すんなりと読めてしまうから不思議なものです。作者の確固たる死生観や道徳観をベースにしてつくられた、美しくも泥臭いヒューマンドラマはまさに圧巻の一言!すべての人におすすめする壮大な異世界ストーリー。そして物語を読んだら、きっとこう思うに違いありません。「この田中、まじハンパねえって!」と。
主人公バリアンが生きる世界は過酷である。生きとし生ける命は明日をも知れず、力ある者は餓狼の如く欲望のままに駆け巡る。殺す。奪う。盗む。姦す。そこには倫理など無い。何かを得、何かを守る為には戦って勝つしかないのだ。 そんな世界だからか、男達の命は儚く激しく輝く。 中世当時の見識、読み易く丁寧な文章、直感的に理解できる内容、人と人の雰囲気、評価すべき点は多いが、何より価値があるのはその濃密な物語であろう。二周目、三周目と読み返す物語は数少ないが、これはその一つに入る。
ファンタジーではなく、中世ヨーロッパ風の異世界。しかもイメージの強い後期の中世ではなく、素手でご飯食べてるような暗黒のヨーロッパです。すごく汚くて暗い時代の。力こそパワー!の世界で繰り広げられる暴力と謀略を説得力をもって描写し、読者を納得させる展開が繰り広げられていく……そのリアルさは最後の最後までしっかり維持されていると思います。ベースとなる時代にあわせ、倫理観は現代社会とかなり違います。主人公は転生先のその世界にしっかり順応していくため、行動や思考に眉を顰めることもあるかも知れません。ただ、その「現代との価値観の違い」まで含めての描写がこの作品の魅力でもあるのです。
中世ヨーロッパ風の異世界に転生する主人公ですが、裏技も無い、魔法も無い、科学技術もありません。そんな近道をしない平凡な彼が、一代で一国の王となるのです!どうやって?平坦な道では無かったでしょう、熱い志と努力、才能、そして時の運。そこには普通の異世界転生には無い、何かがあります。現代個人としての限界を知り、それでも今より良くなるようにと願った。その生涯を、追体験して見ましょう。「「バリアン!バリアンッ!!」」
中世ヨーロッパ風の世界に転生した主人公による成り上がり物だが、一筋縄ではいきません。衛生観念の無い国、時には効果0の内政チート、消えて行く倫理観、成り上がりの代償など読んでいて度々もどかしくなります。しかし、それ故に主人公が必至に生きているのが伝わって来るし、仲間達もより頼りに見える、とても魅力的な物語です。
異世界転生、戦記物。これは転生者の限界を描ききった異色作だ。主人公は中世ヨーロッパ風の異世界に転生した凡人、他の作品のように「知識チート」で成り上がろうとするも、挫折し、現地の価値観によって成り上がっていく。すなわち、それは暴力だ。中世ヨーロッパがリアルに再現された世界、野蛮で、汚い世界だ。主人公はそこで足掻き、転生者の限界を知る。そこにあるのはご都合主義の入る余地のない厳しいストーリーだ。人の一生を描ききった一代記でもある。そこにあるのは無常観。ぜひ、物語の結末は自らの目で確かめてほしい。ただ、中世ヨーロッパをリアルに描写しているために、暴力描写が強め。激辛の異世界転生がここにある。
目の前に広がる世界は元現代人の主人公にとっては悪夢の様な状態。劣悪な環境、病気、飢えや戦争などであっけなく死んでいく大勢の人々。それを目にした主人公が、現代知識を使い世直しを決意する。ここまではよくあるテンプレなろう小説の展開です。物語の初期、現代日本の倫理観で行動する主人公に読者はきっと共感するでしょう。そして理不尽を強要する家庭教師に反感を抱くと思います。ですが、それは間違いなのです。時代や地域や立場により正義や倫理は移り変わる物です。その辺を中世の時代背景について鋭い造詣を持つ作者さんが丁寧に描写していきます。そして読者は物語を読み進める内に、家庭教師の言動が正しかった事を認識するでしょう。100話辺りまで読了する頃には、読者もきっと立派なバーバリアンな思考になっていると思います。中世ヨーロッパ風の本格バーバリアンファンタジー、読んで損は無いですよ(´・ω・`)