Sacrifice(サクリファイス)―――Mermaid days(マーメイド　デイズ)Ⅱ

他人を表現するときに「〇〇な人」と評することは多いでしょう。けれども人間ほど多面的な生き物もいないのです。しかし「〇〇な人」と表現された瞬間、その人はその「〇〇な人」であり続けなければなりません。私もよく他人から「楽観的」と評されますが、実際の私はかなり繊細でくよくよと女々しくうじうじと些細なことに思い悩む一面も持ち合わせています。が、一つの言葉で型にはめられてしまうと、そう言った弱い一面は表に出しにくい。だって型に外れた一面を見せると相手ががっかりするから己は生身の人間のくせに他人のことは何かの偶像のように型にはめ、そうあり続けることを期待し、型を外れると許せない気持ちになる。アイドルの粗相でバッシングが起こるのもこうしたファン心理によるのではないでしょうか。この物語の主人公も、友人を「型」に当てはめてヤキモキし、最後に「気づき」ます。これは気づくことで一歩を踏み出す物語なのです。