青年A 完結日:2011年2月17日 作者:藤崎 京 評価:★★★★★ 4.5明日生きることに囚われながらも古びたアパートで懸命に生活するトモオと、かたや現代人が抱える問題や未来について真剣に向き合おうとするコウジ。全く別の世界で生きる二人だが、それぞれが過去に犯した殺人が彼らの今をも狂わせていた――。 話数:全2話 ジャンル:ヒューマンドラマ 登場人物 主人公属性 未登録 職業・種族 未登録 時代:現代 舞台:未登録 雰囲気:シリアス 展開:未登録 その他要素 殺人 犯罪者 社会問題 注意:R15 残酷な描写あり なろうで小説を読む
主人公たちは、幸せにはならない。それでも、読後、切なさと絶望の果てに、一筋の光のようなものが感じられるのはなぜだろう。それは決して安直な希望ではないはずなんだけれど……。いじめ、介護問題、老人福祉問題、犯罪者の更生、実らない恋。描かれるテーマは限りなく重い。けれども、作者は一つの答えを作中で提示している。読者に丸投げはしない。そして何より、昨日今日書き始めたのではない確かな筆力が頼もしい。社会派小説というむずかしいジャンルであるにもかかわらず、屋台骨をぐらつかせることなく、物語の中に読む者を力強く引っ張り込んでいく。見習いたいところである。「俺と一緒に来い。お前を、俺の親父みたいにしたくない」(本文より)この台詞は未だに心から離れない。「なろう」で読んだたくさんの小説の中で、もっとも感動した作品である。