評価:★★★★☆ 4.4
世界は、「天界」と「地界」の二層に分かれている。
天界は清浄なる場所、地界は汚濁にまみれた場所。
もしも天界に住まう人間が地界に堕ちたなら、その者は異形の化け物に成り果てるという──天界の屋敷で使用人として毎日追い使われるようにして働いているファルは、ある日、怪我をして倒れていた男、キースを助けた。彼に連れられ、新しい勤め先となった大きな屋敷は、使用人たちの態度がなんとも奇妙な、まるで囚人を監視する牢獄のようなところ。どうやらキースには昔から仕える主人がいるらしいのだが、その人物は……
一人の少女と一人の男の出会いによって、二つの世界と、たくさんのものが変わっていく物語。
話数:全73話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
その他要素
作者さんの小説は、どの作品でも、隅から隅まで、綴られる情景が映画や舞台のシーンかのようにイメージされてその研ぎ澄まされた描写、言葉の響きが美しいです。この作品も、街角の空気の温度や色まで伝わってくるようで、小説世界に没頭してしまいます。本好きが心に抱く憧憬ともいえるような世界です。孤独な身の女の子が、孤独な心を持つ男と出会い、心を通わせていく中で互いに見つけてゆく、「守りたい人、場所、心」。主人公ファルは、一体何者なのか。「地」は修羅の場なのか、「天」の存在とは。「天」と「地」のあちら側とこちら側は、誰がキーパーソンなのか。登場人物の成長ぶりに、読み進めながら自分の心を揺らし、感情を入れ込んでしまいます。読み手の心に、静かに押し寄せる波のように、綺麗な感情を湧き起こしてくれる、素晴らしい物語です。
自由とは、平和とは、進歩とは、そんなことを考えさせられる作品スラスラと頭の中に入ってくる文章魅力ある登場人物たち(特にヒーローとヒロイン)綿密に練られた舞台設定恋愛要素も盛りだくさんな上に何と言っても世界観がすごいしっかりとした世界観の元にそこに本当に人物たちが生きている彼らが悩んで考えて、その上で決断しているその姿に心揺さぶられますこの作品の長所を挙げ始めるとキリがないけれど、兎に角もっと読まれるべき作品だと思う