評価:★★★★☆ 4.3
群れを統べる女王の子なのに、生まれながらの欠点を持つ雛。
灰色の羽毛を脱ぎ捨て“大人”になれない事を悟ったある日、とうとう住処を離れる事になるが、雛が生きていけるほど世界は優しくなく、ついには力尽きて倒れてしまう。
――が、それを助けたのは、よりにもよって魔物の天敵である"人間の冒険者”だった。頼んでいないのに保護された灰色ハーピーと、傷が治るまで面倒を見ようと意気込む冒険者の青年の、ベタな異種間交流話。
話数:全33話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
この作品においても魔物は他作品のようにテイム、武具、道具の素材、人類の敵であったりもする。異世界物を読むと殆どが上記の通りであり、私もそんな物語に何の違和感がなかったりする。しかし、この作品は魔物も生きている命なのだということを改めて考えさせられる。この作品は魔物と人間のダブル主人公のほのぼのとした関係が売りではあるが、私が推したい部分は魔物のハーピーが人間たちとは話せないところである。もちろん念話のようなものもない。(もしかしたらこの世界にはあるかもしれないが)人間に対し明確な意思疎通ができないだけで独自の価値観でいろいろ考え、それが伝わらないもどかしさと人間側のあたふたする姿、時に暴走(笑)をみているだけでついニマニマしてしまう。その中に描かれるシリアス部分は多分ありきたりと言われるかもしれないがそれでも非常に光っている。是非一読して会員となることをおすすめする。損はさせないから。
人外モノに定評のある作者の新作である。今度はベタに可愛いなと驚いたが、ほのぼのとした暖かさが相変わらず心地よい。大人になれず、灰色の羽のまま傷つき倒れた幼ハーピーと、子どもを見捨てれず保護してしまった冒険者の青年。とにかく幼ハーピーの可愛さにがっちり掴まれてしまった。肉が苦手でぴーぴー泣いたり、警戒してたはずなのに食べ物でコロッと釣られたり、ハーピーのちょっとおバカな感じが実に愛らしい。青年との噛み合わなさっぷりも、思わず笑みが溢れるだろう。母に少し聞いたとは言え、人とハーピーでは住む世界が違う。当然価値観の違いから、いろいろとやらかしてくれるのだ。次は何をやらかしてくれるのか楽しみでならない。人に詳しいハーピーの女王や、姉妹たち、大人の証の羽根色、気になる設定も多々あるが、見守る会の会員としては、陰から暖かく愛でる所存である。ほのぼの人外好きは是非ご一緒に見守って欲しい。