評価:★★★★☆ 4.2
救世主として異世界に召喚されたものの、世界を救うのに役に立たない能力しか持っていなかったため、召喚されてすぐ殺処分が決定。しかし『石をパンにする』能力のおかげでひっそりと生き延び、隠れながら元の世界に戻る方法を探すことになる。
石はパンにしろ!水はワインにしろ!ついでに悔い改めろ!パンの国は近づいた!そこのゴーレム、お前もパン人形にしてやろうか!この話はただの男子高校生だったできそこない救世主が、できそこないの女の子と一緒に世界を救うかもしれないし、ただパンを食べ続けるだけかもしれない不謹慎ファンタジーです。
※不謹慎なジョークが含まれます。ご注意ください。
話数:全131話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
とにかくメインの二人が素敵だった。ズレてる感じの飄々とした主人公。まっすぐにいい子なヒロイン。大変な目にあって。苦労しながら何とかしていく。残酷さも内包する世界の描写も含めて、直接的じゃない感情の表現が良いのです。ある意味王道で、けれどいままでなかった変で素敵な冒険譚ちゃんと完結してますが、二人がイチャイチャする後日の話とか。もっと読みたいです。
この作品、主人公の能力が石をパンに変え、水をワインに変える能力という、出落ち感がハンパない設定ですがちゃんとファンタジーしてます。むしろそんじょそこらのファンタジー小説よりも王道を守っているまであります。変化球を味わいながら王道を感じるという実に不思議な作品です。これは一度読んでみる価値があります。クスっと笑えるのに、ちゃんとファンタジーしている素敵なお話。是非このファンタジー改め“パンタジー”小説お楽しみください。
気楽にするすると読めて、いつも笑えて、時折ズシリときて、「パン」がゲシュタルト崩壊を起こす、そんな作品。50万字ほどで、気合を入れれば一日で読破可能でした。主人公タスクの能力の”絶妙な微妙さ”と、それに派生する事態が後々になって利いてきたり。時には主人公の思考も超える世界の侵食(といって差し支えない)風景を想像して笑い、そして行末が心配になったり。実にファンシーかつ狂気にあふれた中でも、タスクとエピの旅は元気いっぱいで微笑ましくなります。※たまに狂気に呑まれますカ◯パン教による世界の崩壊に立ち会いませんか。
今作に、ハリウッド超大作風のキャッチコピーをつけるなら、「遂にその世界は、パンの海に沈んだ。」みたいな感じになりそうな本作。「パンとワインとフライパンで魔王討伐」という誰がどう見たって出オチっぽい設定で、コメディ展開だけでなく、バトルシーンはもちろん、仲間との出会いや別れをも丁寧に描いているのは、実にお見事でした。作品のテンポもよく、あっという間に読み終わった50万字だったように思います。肩の力を抜いて読める痛快娯楽活劇として、ぜひ皆様にも読んでいただきたい一作です。