評価:★★★★☆ 4.1
山道を歩いていたら千年昔の関東に来てしまった主人公アキラ。足利荘の屋敷に拾われた彼は戸惑い苦しみながら半年を生き延びたが、アキラにも、平安時代中期の関東平野にもやがて春はやってくる。
時は摂関時代、国風文化の盛り。地方では律令制の行政官である受領がはばをきかせる一方、武士たちは勢力を拡大し続けていた。田畑は荒廃し、庶民は麻しか着るものが無く、生まれ変わりを信じ、挨拶も敬語も、儀礼は内裏の中にしか無い時代だ。
平安時代の真ん中の一見平和に見える東国に、波乱の予感がアキラにも感じられるようになる。血と暴力、悪鬼と疫病、風雅と迷信、貧しく不潔な平安の世をアキラは成り上がり生き抜く。
話数:全111話
ジャンル:タイムトラベル
時代:平安時代
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
国衙領の崩壊、そして己の荘園利益だけを確保して行こうとする様々な人の中で、やがて訪れる『戦国時代』への前売り券を、主人公が摘み取っていき、日の本としての封建体制を構築していく『国土』や『人民』や『政体』の歴史的蓄積を無視して、体験と希望で無意識的(?)に近代国家に近づこうとする主人公の葛藤が、数ある転生小説の中で秀逸だと思います。チートな主人公も何とか現地に馴染もうと努力しているところも人間味があって良いと思います。さらに予想外な事件が起き、喜び、悲しみ、時には憎むこともある。。。。平安末期が『絵』で観ることができる物語だと思います。
現代チートは、強力である。 強力であるがゆえに文章で表すのは難しい よいしょよいしょで 技術動向を話せる 作者の知識に凄みを感じた。歴史と知識と生存競争と交渉とエロスの組み合わせは、人間が生きていると感じられるし、純粋に教養が増えるので読んでて頭がよくなった気がした。 1000年ぐらい前という時代設定も 想像力をかきたてる。
平安時代摂関政治の世の中で、武士が台頭しようとしていた頃にひょっこり現れた主人公。まず、言葉が通じない。現代語が通用しないのだ。一部通用するが、言葉を選ばないと行けない。ごく当たり前の言葉だと思っていたものが通じない。そして物が無い。道具も自分で作らないと行けない。ノコギリがチートなアイテムになるなんて知らなかった!千年前はこれほど物や言葉が無かったのかと驚くほどです。そんな世の中で悪戦苦闘しながら生活する主人公。これからの彼の行く末を皆さんも応援して上げてください。