評価:★★★★☆ 3.7
数百年前に突如、天に現れたとされる凶星
「キャタズノアール」50年周期で世界に凶星が接近する時、魔物達は力を増し始め
災厄の具現「黒い霧」が世界を蹂躙する。災厄の霧が生み出す魔物、そして人類に危機が迫りながらも争い、
団結することをしない、残り少ない生存領域で生きる人間達。数百年もの長き時間をかけて戦闘に特化した人間を作り出すべく、
品種改良を行い続けてきた武の名門ライゼルア家の集大成であり、
現当主でもあるアラケアは仲間とあらゆる脅威に立ち向かう。滅亡が迫りつつある世界の中、それでも人々は道を切り開くのか?
それとも、世界滅亡の未来は変えられないのか?
「災厄の霧に脅かされし人々よ、抗え。生き残るために!」※世界観はベルセルクや進撃の巨人に影響を受けてます。
これらの作品がお好きなら、楽しめる作品に仕上げています。※カクヨムとセルバンテスにも同時掲載しています
話数:全160話
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
災厄の黒い霧が、大陸に広がりつつある。 その黒い霧は、異形の魔物を生み出し、人間の生存圏は脅かされつつあった。だが、それに対し、人類は結束することなく、国家間の争いを続けつつあった。 アールダン王国の精鋭、アルケアは自国を裏切った親類、カルギデを追討する最中、黒い霧の合間にうごめく陰謀を垣間見る。彼は王国の仲間たちと共に、陰謀の正体を探る。 徐々に明らかになって行く、アルケアの出自、黒い霧の謎、そして隣国の陰謀。だが、それらを覆い尽くすように、太陽が闇に覆われる――。 黒い霧が、大陸を覆い尽くそうとしていた。 滅びの運命に、抗え。 重厚感あふれる設定と、それに比例するように雲霞の如く押し寄せてくる絶望。それに抗うアルケアとその仲間たちは正義感や信念にあふれた戦士たちであり、魅力があふれる。 彼らが成長しながら立ち向かう作品。実に、圧巻である。
この物語は、重厚なファンタジー作品です。序盤から謎の「霧」というキーワードを読者に与えながら、謎解きをさせていき、敵である魔物との戦闘、暗躍する何かとドキドキすること間違いない作品となっております。さらに、主人公の戦う裏で動く人物の描写がしっかりと描かれており、作品の世界観に没頭出来ること間違いないでしょう。重厚で戦闘物を読みたい方、是非読んでみて下さい。私は、楽しむことが出来ましたので、どうぞお読みを!
序盤20話+数話を読んだレビューです。 この作品は、タイトルにあるように、とても丁寧な心情、背景描写、キッチリとした文面、そして深い世界観設定によって構成されているダークファンタジーとなっています。 また、他の方がおっしゃる通り、戦闘描写が凝っているのも特徴の一つとなっております。 その本格さ故、序盤こそ難しい印象を受ける作品ですが、ガッツリとしたファンタジーが好きな方には取っておきの小説になることは間違いないでしょう。 皆さんも、休日にいかがですか?
異世界ファンタジーと聞くと、昨今は軽いノリの作風を先に思い浮かべることが多いと思いますが、この作品はそれらとは完全に真逆の道を突き進んでいます。 まず主人公が長身筋肉質の戦斧使いです。この時点でもう、小説家になろうにおける流行とか潮流とかを、空の彼方にブン投げてます。斧は漢のロマン。異論は認めません。 そしてシリアスな世界観がそこを後押しします。国家間の対人戦争と黒霧から現れる謎の魔物への対処との板挟み、主人公と因縁のある血縁者、食えない敵国宰相etc……。いずれも読み進めていくうえで続きが気になるファクターとして非常によく作用していたと感じました。
序盤からキャタズノアールという災厄と、統制の取れた国家という存在が説明されています。この対比によって主人公のアラケアが戦う理由がすぐに理解できるので感情移入できます。主人公のアールダン王国とそのライバルになるギア王国の戦いが展開されていく過程で魅力的なキャラが登場します。新キャラとの戦いがどうなるのかが、バトルゲームのように面白いところです。ただ、ゲームだと戦闘難易度が高くなりがちなところが、小説なので無理なく進められるところに安心感があります。戦闘シーンの描写が単調にならずに、必殺技を中心にしてスリリングに展開していくところも魅力です。言葉遣いには難しいところもありますが、戦闘に勝てば先に進める展開なので、読者がストレスに感じることもないのが良いところです。
私がこの作品を読んで、特に印象的に感じたのは、ダイナミックでありながら繊細な戦闘描写でした。文字を読んでいるだけのはずなのに、迫り来るように戦う描写がリズムよく頭に浮かばれ、まるで映画を見ているような気にさせられます。しかし、それだけでなく、その場にいるキャラクター達の一人一人の感情や様子や、彼らの周囲で織り成される情景が、一つ一つの動きや音と共に、細やかに描かれています。読み始めたら、あっ、という間に、その躍動的な描写に惹き込まれます!是非、ご一読して、圧倒的な世界観を感じてみてください!
シナリオの濃度が高い一作です。シーン展開が非常に早い。と同時に、視点を切り替えて主人公達を眺める敵や、スピード感あふれる戦闘シーンには、読者を満足させるスペースが確保されています。わたしはこの物語を読んで、歴史小説――『坂の上の雲』とか『三国志』を思い出しました。これらの小説も、シーンの展開がきわめて早い(それこそ長い旅路や越山が行間で終わる)。なぜなら、シナリオが重厚にセッティングされており、作者は読者にどうしても見せたいシーンをイメージしているから。ゆえに、それ以外のシーンをスパッと切る強みがあるのです。一日一日、本作を読書する時間を設けてほしいです。皆さんは遠く広い世界にその身を移すことができるでしょう。ノルンの美しき髪から放たれる粒子。ダメージを受けたら、アラケアと一緒に顔をしかめて。あなたの大切な読書として、心の本棚に仕舞われるに違いありません。
今時分のネット小説ではなかなか見かける事が無い、骨太のダークファンタジー。緻密に練られた世界観。重苦しくも淡白な描写。それらは濃密な闇のスープとなり、甘ったるくて優しい世界に慣れ親しんだ我々の脳ミソへと真正面から流れ込んできます。これぞ! と呼ぶべき王道を行く作品。まるで少年誌であり、青年誌であり、ハードカバー小説。様々な形態の本の良い所を、ネット小説というジャンルだからこそ一つの世界に纏めあげた名作です。暗く、熱く、苦くて濃い世界を楽しみたい方は、是非。
霧とホラーは切っても切れない関係です。霧により視界が制限されることで、恐怖は何倍にも増すからです。本作の世界にはその霧が滅びの象徴として存在しています。そして、その文字通り先の見えない滅びの世界でもがく人物が主人公のアラケアです、彼は霧とそこから生み出される魔物に対抗して作られた技術を駆使し、騎士としてそれらと戦ってゆきます。果たしてその先に光はあるのか……。シンプルかつディープなダークファンタジー。文字通り先の見えない展開と、霧にまぎれていつだれが消えてしまうのかと言う緊張感、そして立ちふさがる謎、それを切り破らんとする主人公たちのバトル。全てが極上のバランスで構成された完成度の高い物語です。設定としては近年では「灰と王国」「ラピスの心臓」に近いかもしれませんが、それに勝るとも劣らない完成度です。みなさんもこの霧の謎を解明しに冒険の旅に出かけましょう。
ダークでシリアスな雰囲気が印象的ですが、世界観と物語の破綻はほとんどなく、作り込みに時間をかけたことが伝わってきます。専門用語が比較的多く物語が進むテンポも早いので一見すると難解ですが、その実王道なストーリーです。登場人物の一人一人にしっかりとスポットライトを当てているので、自然に感情移入することが出来ました。設定も相当深く練られており、かつそれがしっかり活用されているので作者さんの力量を感じさせられました。特に戦闘シーンの盛り上がりは手に汗握るもので、最後まで楽しんで読了させられる力強さが宿っています。いつまでもこの世界観に浸っていたいと、そう思わされずにはいられない作品です。