評価:★★★★☆ 4.2
【第1回MBSラジオドラマ短編小説賞最多レビュー獲得作品】
この恋を、この夏を、たとえ大人になっても、ボクはきっと忘れない――。平成最後の夏に送る、痛くて切ない、ちょっぴり歪んだ恋物語。ジャンル別日間ランキング最高2位、週間ランキング最高4位、エブリスタにて公開中の20000字改稿版が恋愛短編ジャンル日間最高4位を記録。お陰様で日間、週間、月間、四半期、年間、全てでランキング入りを果たすことが出来ました。H△G「瞬きもせずに」アルバムジャケット担当人気イラストレーター・夏蜜柑様&著者&SNSで話題の人気絵師様によるイラスト複数公開中です。
★2018/10/4 完結済み作品を5分割から7分割に変更致しました。
★2019/2/17 「完結済」を「連載中」に変更致しました。
★2019/3/3 最終ページを追加致しました。
★2019/5/31 波瀾紡様から頂いたレビューがネットレビュー大賞にて部門賞を受賞致しました。
★2019/7/10 ブックマーク100人を達成致しました。
★2019/9/29 「WEB小説美術館・まほろば」様にて本作をご紹介して頂きました。
話数:全8話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
短編にも関わらず、一冊の長編小説を読みきったような濃い読書体験をさせてもらいました。 何よりも描写力の高さが素晴らしい。読者をすっと物語の世界に連れて行ってくれます。 そして、作者がきっと一番描きたかったであろう駅のシーンでは、登場人物が目の前に広がる海を眺め、潮風に触れ、イルカの雲に歓喜する様子が手に取るように想像できました。 全ての青春小説好きに薦めたい、キラキラと爽やかに煌めく物語です。
平成最後の夏を描いた、痛くて切ない、ちょっぴり歪んだ青春恋物語。 主人公はちょっぴりパッとしない高校生の小秋。そんな小秋と親友の美少女、真夏との青春の1ページを切り取ったような本作。 青春小説特有の複雑な心情やエネルギッシュな躍動感がこの作品からは感じられ、胸がギュッと締め付けられたり、ドキドキと高鳴ったりします。 大人になった今だからこそ感じられる、青春の懐かしさがなんとも心にしみます。 そして物語の構成も圧巻で、約2万文字で読者の気持ちを最高潮に高めてクライマックスを迎えさせてくれます。 素敵なイラストも必見! 田舎の駅から見える爽やかな海。 青い空。 白い雲。 二人の女子高生。 このイラストが読後、違うものに見えてくるんだから作者の演出は憎い。 レビューを書いている今もまだ胸がドキドキしています。 心を動かす作品。是非あなたにも読んでほしい。
“この作品を開くと、まず最初にとても爽やかでインパクト充分な表紙絵が目に入ります。この絵は作品世界を存分に表現していて、それだけでも素晴らしいのだけれど、物語を読み終わってからもう一度ぜひ見直していただきたい。読後に見ると最初には気づかなかった描写が目に入り、涙がじんわり滲むほどの世界に見えてきます。そして作品世界。作者様の筆致は爽やかで軽やかで、それでいてしみじみとした感情を呼び起こすような、物語の世界観にぴったりの素晴らしいものでした。地味な””ボク””と真冬生まれの美少女、真夏ちゃん。そんな二人が織り成す少し切なくて爽やかなお話です。 物語のラストも、(ネタバレになると困るので詳細は伏せますが)こういう場面で終わるのが大好きです。 素晴らしい作品をありがとうございました。”
主人公は多数の中に埋没した高校生。少なくとも自分ではそう考えている。だが、そんな主人公でも恋に悩む夏を過ごす。それだけでもう、十分に劇的な日常だと私には思えるのだ。恋の相手は親友でもあるとびきりの美少女。主人公に屈託なく接する。それが日常だった。ここからは自分の目で読んでほしい。変化する日常。青い空。青い海。翻ってゆく時間たち。思い切り、青春を駆けた日々。あなたにもきっと白いイルカが見えるだろう。これは、きらきら光る粒子のような物語である。
人をひきつける魅力的な文章を生来から取得されてるというのは、きっとこういったものなのだろうと思わせられる作品でした。非常に丁寧に、言葉の選び方に気を配ってらっしゃるのが分かる。不器用で、やや歪で、ピュアな思春期の等身大の心情をポップに書かれている、しかし安っぽさやあざとさは全く感じさせない。言葉づかいのバランス感覚の妙だけでなく、文章のリズムの巧みさにおいてもこの方は優れている。喪失、甘酸っぱさ、希望といったものと共に疾走感のある結末まで、気がつけば一気に引き込まれていた自分に気づかされる。片仮名の使い方、用語を用いた例え方も素晴らしい。シンプルながら、巧みで深みのある一編となっています。実は1300文字以上使ってご説明したかったのですが、字数制限にひっかかりました(笑)是非、ご自分の目でお確かめください。
まず、とある作者がこう言ってました。「嫌味も安っぽさもない、抑制されてウィットのきいたリズミカルでポップな文章に、私はファンにもなったし嫉妬もした」作者も嫉妬させる書き方とストーリー。【文字で魅せる。】そんな言葉が似合うかもね。って事で僕も読んで見ました!なんか、スッと心に入ってくる。不思議な感じがしました。これは読んで見ないとわからない、僕にはこの不思議な感じをここでかき表すのが出来ないんのが悔しいくらいです。是非、読んでみてください。それでは、いってらっしゃい!
はじめてガールズラブを読みましたが、こんなにも繊細で綺麗なものなのかと驚きました。とにかく思春期独特で自然な恋心が描かれています。女の私でも普通に読めます。女主人公の「ボク」や「真夏ちゃん」以外にも魅力的な人物が登場します。私はスターリンと例えられている星野凛にくすっと笑ってしまいました。文章の一つ一つに無駄がなく、比喩表現も巧妙で、読んでいくうちに「ボク」にどんどん感情移入してしまいます。男女関係なく読める、下心のない純粋なガールズラブ、それがこの作品だと思います。是非一読あれ。
惹かれたのは同性の少女。そのことに〝ボク″は葛藤する。でもその様子も屈折したものではなく、まっさらな美しさを感じます。思春期の女の子の、繊細な心の動きをうまく描かれています。学生をしている少女たちの描写も、自分自身の学生時代を思い出してしまうぐらい、ひとつひとつ言葉を丁寧に書かれています。思春期、学生、友達、恋――そっと見守っていきたい。そんな気持ちになるお話です。
「脱陰キャラ宣言」もむなしく、高校デビューのかなわなかった小秋。校内透明人間を受け入れ、教室で黙々と本を読んでいた。そこへ現われた美少女、真夏。 彼女は、自分と同じ本好きの小秋に関心を持っていたのだ。 校内透明人間の小秋と話したかったという真夏。その日から小秋の心は真夏に惹かれていく。 何気ない校内の風景。日本のどこにでもありそうな風景。それらが丹念に描かれ、小秋の気持と一緒に繊細に綴られていきます。 とにかく、文章にはっとする一瞬があります。それは、まさに、主人公小秋の気持とシンクロしているかのように―― この作品には、学生時代の風景や心が詰まっています。それだけに、女の小秋が同じ女性の真夏に惹かれ、悩む様子が、同性であってもどこか爽やかな印象を与えています。この恋を伝えるべきなのか、このまま友人としてすごすべきなのか。 悩む小秋の選択をぜひ見守ってください。