評価:★★★★☆ 3.9
オリジナル小説シリーズ
『ぼくらは晴れて人生を卒業します』父と妹を失った後に迎えた花火大会。
キレイな花火が打ち上がる度に少年はその瞳から感情を零した。
翌年の春、目つきの悪い少年ヒビトは母親に連れられてとある町に引っ越して来た。
彼の目に映りこんだ花火大会のチラシ。
「今年の花火は、笑って見られるといいなぁ」
そんな想いを馳せながら臨む夏休み。
少年のともだちは野良猫1匹。
それでも彼は、次の花火大会を笑顔で迎えられるのか?
同じ町に、真っ白な盲目少女が暮らしていた。
「君の目を、見えるようにしてあげる」
真っ白な盲目少女ハナは、夢の中で天使を名乗るうさんくさい男と出会う。
「期間限定! 今だけだよ! 条件たった二つ! それに……」
"君のお母さんも喜ぶよ!"
その日から、少女の目は光を受け入れた。
初めて見るたくさんの色とりどりな世界に感動した少女は、とある出会いがきっかけで絵を描く道を歩む決意をする。
「わたしは……わたしが見る世界をたった1日さえも……」
夏休みの果てに迎える花火大会で、少年は何を思うのか。
花火大会の最中、少女が描いた夢のカタチとは。
かくして少年たちは巡り会う─。
セミが鳴く、暑い夏。
ただただ積み重なる平穏な日常の中、彼らはココロのままに生きていく。
頭はそんなに良くない、
周りはあんまり見えていない、
運命なんて言葉はまだ知らない、
役割なんてなにもない、
だからこそ、ぼくたちは何にだって成ることができる。
これは、そんな目付きの悪い少年と真っ白な絵描き少女視点で描かれる、"変わらない約束の物語"――。
第一章
「すっごいキレイな、ヒューどっかーん!」
――美しすぎる花火は少女に夢を見せ、少年を絶望させる。
話数:全23話
ジャンル:現代ファンタジー
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
本作は、目付きの悪い少年と真っ白な絵描き少女の、夏休みの出来事を描いた作品。物語全体として、小学生ならではの出来事がふんだんにちりばめられ、読んでいてどこか懐かしさを感じる。キャラクターのなんでもないやりとりが絶妙で、自分もたしかこうだった、と読み手に訴えかけてくるものがある。子供ならではの世界の見方が繊細に描かれている。物語全体の展開はスローペースで、より深く感情移入でき、大きな起伏はなくとも着実にストーリーは進んで行く。何気ない日常の中にも確かな起伏があり、少年少女にとってはすべてに意味がある。大人になったら分からなくなってしまう、そんな日々の変化が豊かに描かれている作品だった。是非ご一読を。
子供視点で書かれている作品。 この作品は一話内で視点が変わることが多い…。 しかし、それが気にせず読み進められるのは、この作品の綺麗な文章。そして、この作品の世界観に引き込む作者の技量なのだろう。 物語には、なろう様ので流行っている異世界転生やチート主人公が出てくるわけではない。 少し変わった小学生の日常を題材としている。 でも、だからこそ落ち着いて読むことが出来る。 設定が少ないからこそ、この作品の世界観に熱中できる作品である。 昔のことを…自分が子供だった時の事を思い出させてくれる。なんとも不思議な作品である。 これは頭をからっぽにして素直に楽しめる作品だから、執筆の合間にでも読んで欲しい。 執筆者も読専の人も純粋に楽しめる作品である。