【※第六回ネット小説大賞 一次選考通過しました】
これは、呪われた出生と運命に翻弄され――敵と自分と、ときに仲間の血にまみれ――世界を巻き込みつつも――。
復讐を果たさんとする、しかし尚も獣でなく人で在り続けようとする、一人の美しき女戦士の死闘と葛藤の物語。
異世界オファ二ム、そこにあって最大の大陸ハルメニア。
王国エストガレスを筆頭とする11の国家・地域が存在する、大乱なき平定の時代――。家族を奪った仇敵たる、最強かつ最凶の暗殺・戦闘集団『サタナエル』――さらには大陸全土をも敵に回す運命をたどる、主人公レエテ。
突如として西のダリム公国コロシアムに現れ、残虐非道な剣闘士とドラゴンを一掃し名乗りを上げ、サタナエルに挑戦状を叩きつける。
そして――生まれ持った超人的身体能力と半不死身の肉体、刃に姿を変える両手、「結晶手」を武器に、終わりなき闘いに身を投じる。その昏く波乱に満ちた運命に巻き込まれ、集い仲間となる者達。一行を狙う魔の手。
壮絶な闘いはやがて一国の内乱と国家間の争いをも引き起こし、混迷を極めていくハルメニア大陸。標的である『サタナエル』頂点・“魔人”、そして“剣”、“短剣”、“投擲”、“斧槌”、“法力”、“魔導”の各ギルドを率いる六人の“将鬼”を狙い、レエテの旅は続く。
彼女の復讐の悲願が、達成される日は訪れるのか――。それが達成されたとき、彼女は人なのか、獣なのか――。*
生まれついての超人。一流の剣士、魔導士。聖教に背く背教者。大国の武将、諜報員。
あらゆる人智を超えた強者たちが各々極限まで高め磨き上げた剣・魔導・法力の力でぶつかり合い、国家の趨勢までも動かす、大河バトルアクション・ダークファンタジー、ここに開幕――。
サタナエル・サガ
完結日:2019年4月29日
作者:Yuki
評価:★★★★☆ 3.9
時代:中世
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
その他要素
本作は復讐劇ですので、ダーク・ファンタジーだと作者様はカテゴライズされているみたいです。確かに残酷シーンは散りばめられていますが、残酷描写が苦手などの意識を持たれるのは、とても勿体無い。本作はプロット、世界背景の構築能力、文体、戦闘描写、読みやすさ、どれを取っても、日本におけるファンタジー全盛期の古き良き、剣と魔法の王道ファンタジーの傑作の流れを組んでいると言っても良いでしょう。ハイ・ファンタジー全般を書く上で、この作品はお手本になるような物語です。何か骨のある王道ファンタジーを読んでみたい方は、是非、本作を手に取って見てください!
これぞ本格派。異世界転移・異世界転生によくあるRPGの世界観をそのまま流用したものではない世界観、チーレムで片付けられるような小説とはわけが違います。練られた世界観とストーリーできっと驚かされるはずです。まずは読んでみましょう。話はそこからです。綿密な設定とあっと驚くような展開がきっと沼に引きずり込んでくれます。話数が多いからといって敬遠していれば損をするくらいかもしれない…。
まず女性が主人公のファンタジー物で、かつてここまで本格的な冒険、激しいバトルを主体とした作品があっただろうか?無いとは言わないが、極めて稀である事は確かです。主人公レエテは超人的な強さを持つ女傑ですが、彼女が復讐せんとする組織サタナエルにはそれ以上の強者がひしめいています。安易な俺TUEEEではない、臨場感溢れる本格的なバトル描写は圧巻です。またレエテは強いのですが、同時に繊細な心を持った傷つきやすい女性でもあり、彼女の心の葛藤、魅力的な仲間達との恋愛、友情などの人間模様……ただのバトル小説には収まらない、ある意味では由緒正しい努力・友情・勝利の物語がここにはあります。雨後の竹の子異世界ファンタジーに飽き飽きしたそこのあなた、是非この作品をブクマしてみましょう。美麗な挿絵も付いており、気づけば物語に引き込まれて時間を忘れて読み進めている事でしょう。
本作は、暗殺組織サタナエルへの主人公レエテの復讐劇である。 しかし、本作のテーマを『復讐』の一言で片付けてはならない。 レエテのサタナエルに対する憎悪が描かれていくその過程で、同じ憎悪を持つ仲間達が彼女の元に集まる。その影で復讐への報復とばかりに、彼女たちにとって失いたくなかった命も散っていき、その復讐はより重みを増していく。復讐という昏く強すぎる人の想いの裏には、失われた命への愛と奇妙な絆があり、人の想念そのものがテーマとして行間に潜んでいるのである。 さて、主人公レエテはサタナエルの一族として、『魔人』としての力を持っており、彼女を殺すには『首をはねる』か『心臓を徹底的に破壊する』である。 だが、彼女は死することはないだろう。 彼女の『強い意志は切り離されることはなく』、『熱い想いは砕けることはない』のだから。 綴られたハート、その燃えるヒートを読み取って欲しい!
世界の暗部に潜む暗殺者。その暗殺者の中でもきわめて高い実力と戦闘能力、畏怖と実績を誇る暗殺者集団ーーサタナエル。 世界の歴史を闇から保持してきたその一団に、同じサタナエルの者でありながら反逆するものが現れる。 英雄とドラゴンを一刀のもとに斬り伏せ、高らかに宣戦布告をしたその女は、最高の魔導師を目指す女性と背教者と呼ばれる少年を仲間に加え戦いというにも規模が大きすぎる大乱の渦へと身を投じる……。 魔導、法力と呼ばれるファンタジーマニアなら垂涎の要素に加え、緻密に練り込まれた世界観が、まるで数百万部を売り上げるような最高峰のファンタジーゲームを遊んでいるかのような快感をもたらしてくれる。 もはや小説という形に留めておくにはもったいないダークファンタジー。このレビューが一つ目、という事実が信じられないほど面白い。 良質なファンタジーを読みたいのならば、まずこの作品を読むべきだ。