ひとくちセリフ劇場

この作品は、１４０文字以内、かつ、会話文のみで構成された超短編集です。毎回オチで笑わせるもの、というよりは、長い物語のなかのワンシーンを切り取ったという感じのもので、会話の前後、物語の背景をいろいろと想像できるようになっています。収録されている作品群は、スパイや軍事、探偵っぽい物、メロドラマ風等、おおむね大人な味の作品で統一されていて、奥行のある味わい深さがあります！読もうと思えば数十分で全話読めてしまう短さではありますが、一話ごとにその会話にいたるまでのシーンやその後のシーンを考えていると、ドラマや映画が毎回一本できてしまいそうなほどなので、ぜひ、毎話じっくりと時間をかけて味わってみてほしい作品です！

全編会話の台本形式のみで、人に面白いと思わせる。可能か不可能か、で言えば可能だと思う。ただし、凄く難しいだろうというのが正直な本音だ。限りなく不可能に近い可能、個人的な主観としてはそうだった。この作品を見るまでは……ハリウッドの雰囲気を漂わせるハードボイルドな会話もあるかと思いきや、往年の日本のアニメを思わせるトホホとなるような会話まで、幅広く会話で魅せるということを追求しそのワンシーンを我々読者に容易に想像させられるのは一重に作者の力量によってだろう。韻をふんだ会話の応酬、センスのある言葉選び、背景事情を少ない文章で容易に想像させる会話の描写力、短い会話のみのワンシーンの連続で、ここまで面白いと思える。是非、読んだ上でニヤリと自身の好きな映画を思い出す感覚を楽しんでいただきたい。

この作品は全編会話のみで書かれた作品である。いや、描かれていると言った方が正しいかな。 なぜって？ だってそれはよう、映画のワンシーンを観ているかのようなんだぜ？ そして気付くのさ。心を昂らせるのに、文字数なんて必要ないってことがな。 だってそうだろ。名作の映画やドラマには必ずその代名詞となる名シーンがある。そのシーンを思い出すだけで胸は昂ぶるし顔はニヤける。 そんな名シーンを切り取っているのがこの作品だ。 海外の映画やドラマ好きには堪らない作品なのは間違いない。更にだな、その一瞬のやりとりだけで、その人物達がどんな性格でどんな関係なのかを想像するのも楽しい。 読みたいか読みたくないかじゃないんだ。痺れたいか痺れたくないか。 答えはもう……決まってんだろ？