評価:★★★★☆ 4.3
(過去に商業作品として架空戦記小説を20タイトル以上述べ60冊以上各種出版社から発売しましたが、そこでは出来なかった商業的縛りの無い自由発想のシミュレーションをさせて頂きました。カテゴリーとしては侵略抵抗シミュレーションに分類される作品です)
1938年夏、南太平洋に突如出現した謎の亀裂。そこから現れた謎の飛翔体によって、人類は世界規模での防衛戦争に突入せざるを得なくなった。
列強各国が牽制をしつつも共闘する中、頑なに派兵を拒むドイツ。偶然に戦場で悲劇を目撃した女性飛行家ハンナ・ライチェは祖国に戻り大統領に参戦を迫った。だが、そこで突き付けられたのは明確な拒絶。だが、それは彼女を戦場に送り込むための偽りのポーズであった。
義勇軍を率い南海に戻ったハンナを待っていたのは、圧倒的強さで人類を打ちのめす敵の存在だった。
募集をした義勇軍に集まったのは、予想を超える数の女性パイロットたち。
そこには、翼を奪われた日本からの女性パイロット達も含まれていた。
話数:全44話
ジャンル:エピック・ファンタジー
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
何故この話をメタファーとして捉えるのかといえば、まさに舞台になっているのが太平洋戦争における最大の消耗戦となったソロモンであり、その端緒たるガダルカナルに基地が設けられていること、さらに負け続ける各国軍からアメリカが排除されている設定は、そのまま沈みゆく船は国籍を問わず敗戦した日本海軍を模していると見れば、すごくすんなり展開が悲劇的である理由に行き着けます。その一方で、民間女性パイロットたちへの強いリスペクトも感じられ、反戦争の立場にありながら世界を守るという大義の前に軍と言う枠組みは邪魔だと言う示唆もあるのではと勘繰れます、いずれにしろ上質なSF戦記であり、純粋な侵略戦争シミュレーション小説として一読の価値があり、今後の展開が楽しみな作品です。
パラレルワールドなのでしょうこの世界は1938年の歴史をほぼトレースしていながら、ドイツ第三帝国は存在せずワイマール共和国がまだ存続している。その若い大統領がドイツを掌握し工業と科学で世界の最先端を進んでいながらも、軍備は飾り程度にしか持っていない。この設定がまず大きな布石になってる。日本は事実上の道化かと思われたが、後半に登場する民間人や陸軍軍人たちの様子から見ると、この先大きなキーファクターになるのは間違いない。登場する兵器のマニアックさもさることながら、物語の中核をなす女性飛行士たちが皆実在人物というのも驚愕である。この先の展開も楽しみだが、現時点までで十二分に上質の戦記読み物になっている。だが、日本海軍ファンにはお馴染みの艦がどんどん沈んでいく悲しさも味あうかもしれないこと付け加えておく。