評価:★★★★☆ 4.2
『ウサギ』という能力者が造った、偽物の世界。八人の能力者が、夜零時から朝六時までの間だけ毎夜そこに招かれていた。
八人の内の一人である主人公、呉羽紫苑は、夜以外の日常をどうでも良く思っていたが、駅で自殺を図った宮下浅葱という少女を気まぐれに救って友人になったことで少しずつ変わっていく。
そんな中、能力のことを何も知らなかった浅葱が偽物の世界に招かれ、彼女に普通の日常を過ごして欲しい紫苑は『ウサギ』を見つけ出さなければと強く思い始める。能力バトルと恋愛、ミステリーが交錯する現代ファンタジー。
※旧タイトル・月光。略称が月光となりました。
※「カクヨム」にも掲載しています。
話数:全104話
ジャンル:異能バトル
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
皆様の素敵なレビューで素晴らしさは十二分に伝わったと思うので、今回は違う側面から攻めてみたいと思います。皆様は初めて夢中になった本を覚えていますか?私は覚えていません。恐らく大方がそうではないでしょうか。ですが、その時の感情は覚えているかと思います。 ——面白い。書き手にとっても読み手にとっても最高の感想が、この一言。この作品にはあらゆる言葉を連ねる前に、それが自然と零れ落ちてしまうのです。読書が好きな方、是非ともお手にとってみてください。少し活字が苦手な方、大丈夫です。そんなことを忘れさせてくれますよ。そして食傷気味の方、私は是非ともそういう方に読了頂きたいと思っております。各言う私もその1人。読み終わった際きっともう一度読みたくなってしまうことでしょう。あなたも月の光の下、楽しい裏切りにあってみませんか?
魅力的なキャラが誘う美しくも残酷な非現実世界。その中心で叫ぶ『ウサギ』と己や他人と闘う『能力者』たち。それぞれが傷を抱えながらも懸命に生きる姿に胸を打たれます。また、音や匂い。温度までもが感じられるような詩的な文章。目を閉じれば物語の世界にいるかのような錯覚すら覚える筆致力。心が痛い、熱い、速い。それを感じさせる心理描写。一瞬も気を抜けない『月光』が照らす世界とは対照的な当たり前の日常風景にホッとさせられ、涙し、ときめかされるギャップも堪りません!残虐な世界を構築する『ウサギ』の正体を追うミステリー!ドキドキ、ハラハラ、ワクワクを一度に味わえる恋愛模様!そして、後ろ向きながらも前へ進もうとする心の葛藤や登場人物たちを取り巻く人間模様!小説の面白さを凝縮した作品です!是非!この感動に触れて下さい!良い意味で振り回されること間違いなし!
タイトル通り洗練されたファンタジー小説です。どこが? 全てと答える以外ありません。シビアな現実、世界観。個性豊か、それでいてバランスの取れた登場人物の方々。彼らの見せる苦悩、葛藤、そこから生じるかっこよさ。能力、バトル、ヒューマンドラマと飽きの来ないたくさんの要素。これら全てが驚くほど高い文章力で描かれており、読者を没入させること請け合いです。面白い、読み応えのある小説をお探しのそこのあなた。是非ともこの作品を読んでみることをオススメします。
死にたがりの少女と、人生を諦め、死んだように生きる少年。二人は出逢い、惹かれあう。突きつけられるのは、どうしようもない現実。どのキャラクターも苦しんでいて、泣いていて、幸せになりたがっている。そんな等身大の彼らは、皆魅力的で、心をぎゅっと掴まれました。叫びながら、苦しみながらも歩んでいく、その姿はとても不格好なのに、どこか美しさすら感じます。ままならない現実に生きる私達にとって、彼らはもう、他人ではない。共感とともに感嘆しました。なんて、素敵な小説なんだろう!青春を生きる彼らが直面する様々な煩悶を、美しく無駄のない文章と丁寧な心理描写で描く、その鮮やかさ。人間ドラマ、甘酸っぱい恋愛、異能バトル、謎解き。それらが過不足なく揃っている!本当に、皆さんにお勧めしたいです。少なくとも私にとって、小説家になろうで一番好きな小説は、間違いなくこの作品です。
スタートからテンポよく進む物語に、ぐいぐいと引き込まれ、気づけば最新話まで一気に読んでいました!中性的な主人公(少年)は複雑な人物像が魅力的で、その不器用さにクラクラくること間違いなしです!多彩な登場人物たちはそれぞれ造形がしっかりしているので、まず混同することがありません。殺伐とした世界で繰り広げられるバトルファンタジーでありながら、心理描写も厚く、読み応えのある作品だと思います。完成度が高いので、ぜひオススメします!