評価:★★★★☆ 3.5
時は、戦国中期。
常磐色の瞳を持ち、顔に醜い火傷をおった天涯孤独の幼姫吉乃。城主の夜這いを拒んだが故に「病に伏した兄の元へ戻れ」と護衛の忍、才四郎を一人付けられ、匿われていた城を追い出されてしまう。しかし里帰りは本意ではなく、腹いせとして、忍には密かに吉乃暗殺の命が下されていた。
吉乃は内心それに気付きながらも、受け入れる覚悟で忍と旅を続ける。しかし忍はいつまでたっても彼女に刃を向けてこない……。
いつ斬られるか怯え悩みつつも、旅を続けるうち、様々な人と出会い、様々な出来事に翻弄され、次第に吉乃は美丈夫の才四郎に心惹かれていく。しかし才四郎の心には別の娘の姿があるのを知ってしまい……。二人の旅の行く末にあるものは、悲恋か成就か。
—————————-
・忍と亡国の姫を題材にした和風の恋愛小説です。戦闘あり、謎ありで退屈しないよう書いてみました。
・序章以外は女主人公の吉乃姫の一人称になります。読みやすいかな?
・時代小説特有の役職説明や、国同士のあれこれは、語ると長くなるのではしょって、かわりに戦国時代の人々の旅や、文化、出会い、交流、恋愛感情の動きに比重を置いてるので、とっつきやすいと思います。
・作品自体は2年前完結しています。当時は別ペンネームで投稿していました。色々あって自サイトに下げていましたが、再度見直して投稿を始めました。人称を統一し、大幅にエピソードを増やしています。
★この小説は、マグネット! アルファポリス、エブリスタに複数投稿しています。
話数:全41話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
戦により家族を失い、翻弄される姫と忍の旅物語。姫は戦により多くの傷を負っています。体にも、心にも。その傷を癒そうと手を差し伸べる人々。心あたたかな繋がりが物語りを紡いでいきます。きっと、主人公を応援したくなります。幸せになってほしいと願うでしょう。丁寧な口調と、時に厳しく。時に大人しく話す姫。自分に厳しく、他人のために立ち上がる姿は凛々しくもあり、儚げでもあり。あと、読んでいてハラハラドキドキが止まらなくなるはずです。『序章』を伏線とした、物語の展開。徐々に伏線のひき方と回収が巧みだと気づき、もう夢中になるでしょう。上記に加え、所々に散らばる漢詩や和歌、花の名前や花言葉、また、それを感じさせる美しい描写。この美しい世界を是非、堪能してほしいです。そして、クライマックス。「もう、どうなっていくんだよ!」そう叫びたくなるような展開が待っています。