評価:★★★★☆ 4
2019年12月。
自分の居場所が見つけられない浪人生、谷山翔哉はクリスマスイブに突然世界の転移を経験する。
しかし異世界と聞かされたそこはファンタジーな世界ではなく近未来の様相だった。戸惑う翔哉の前に、感情を特殊な形でリアルに再現させたまるで人間のようなアンドロイドの少女。
──エルが現れる。
そこから運命の歯車は回り始めた。エルとの絆を深めながら、舞台はいつしか二人が出会ったレストランから広がって行き、翔哉は次第にシンギュラリティーポイントへと向かう世界の荒波に巻き込まれていく!
話数:全117話
ジャンル:仕事もの
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
現代日本から異世界へと転生してしまった主人公。住んでいた世界と似ているようで似ていないという面白い設定と世界観です。もしこの異世界のような歴史を辿れば、世界はこうなっていたかもしれない。読んでいてそう思えました。異世界転生はファンタジーな世界観を彷彿させますが、この作品は違う。どちらかというと『SF要素』がたくさんあります。近未来的にも思えますが、歴史が違うのでそれも違う。だからこそ、この異世界で主人公はどう生きていくのか楽しみです。
僕は異世界転移系の小説はあまり読まないのですが(ありふれているから興味が引かれないという個人的な理由で)、この物語はそんな異世界転移系の中でも異色です。何が異色かと言いますと、一番は世界観です。主人公、翔哉が転移した場所はドラゴンが飛び回り剣と魔法が乱舞する世界……ではなく、職安やコンビニなどが存在する転移前の世界と類似した世界でした。読み進めて世界観や設定を理解した瞬間、「SFだ! スゲェ!」と感動し、それと同時に、こんな世界を創り出せる作者様の想像力に嫉妬……ゲフンゲフン、失礼しました。文章についてですが、一行一行が短いのでスラスラ読めます。また、ほとんどのページにユーモア風味の文が含まれているので読んでいて飽きが来ません。最後まで読み、オチを知りたい作品です。最後になりますが、この物語のヒロインでガイノイドのエルが可愛い。異論は認めません。以上。……長文失礼しました。
なんと異世界かと思いきや、普通の異世界とはどうやら違うようです。我々が住む今の世界とは、ちょっと違う歴史を辿った世界が舞台なのです。全く有り得ないとは言い切れないリアルな設定。もしかしたら、現実でもこの先起こり得るんじゃないか、と思ってしまうような妙なリアルさがあるのです。設定の緻密さには大変驚かされました。また、キャラクター同士の関係にも心動かされる物があります。大変素晴らしい作品となっております。ぜひ一読を!
最初にタイトルを見た時、異世界でレストランとかするんだろうな~。また流行りの料理ものか~。という気楽さでページを開きました。でも、主人公が転移したのは未来の日本?しかも現実とは少し歴史が違う!そう、この話はファンタジーではなくSFだったんです。しかもそんなに遠い未来ではありません。私達が生きているよりほんの数十年先、人型ロボット……いわゆるアンドロイドが実在するくらいの時代。(作中ではガイノイドと表現されてます)転移した主人公と女性型ガイノイドが出会う。それだけを見るといかにもテンプレなイメージです。でも、丁寧に書き込まれた世界観。繊細な心理描写。主人公を取り巻く人々のリアルさ。そして、徐々に不穏になっていく物語……。これはもうヒューマンドラマと言った方がしっくりきます。しっかりした物語を読まれたい方におススメです。たまに出てくるお茶目さもいいです。