王族に生まれたので王様めざします

科学のはなしが、いわゆるチートとして主人公を引き立てているんでしょう。でも、この作品はそんな程度の話じゃないです。もちろん科学は面白いですか、それは一旦置いておきます。色んな人が登場人物として出てきます。それもリアルに居そうな人です。その人たちの人物像と、その心理描写、感情の推移が心地よいほどに丁寧に描かれていて見事なんです。ああ、このキャラクターはこういう人生を歩んできたからそう考えてしまうんだなって、読み手側が納得できるんです。だから主人公と出会って関わっていく内に、変わっていく様を見ていられることが楽しいんです。これはそんな凄い作品なんだと思います。

投稿最初期からずっと見させてもらっていますが、書籍化しているものやランキング上位の作品以外で、現在最も面白いと思っている作品です！次に来そうな作品ですので、見守るのが楽しみでしょうがないです。まず、ワンパターンなチート作品に疲れていたので、あらすじに惹かれました。王子に生まれながら物語の序盤で落ちぶれ、そこから這い上がっていく主人公。魔法(物語内ではマジカ)が使えないという絶望的な状況で、前世の知識を使ってなんとか成果を上げ、信用を得ていきます。最も評価したいのは、単純に知識チートで何もかも上手くいって、結局主人公無双とはならないところ。この世界、マジカが強すぎて、知識チートぐらいでは天狗になりかけた主人公の鼻は一瞬で折れます。這い上がって、落とされて、また這いあがる。なろうによくある、後半単調で残念になってしまう作品とは違い、だんだん面白くなってく予感に溢れています。

異世界転生＝チート能力は正直食傷気味だったのですが、作品の主人公は転生にも関わらず世界の根幹になるマジカ（魔法）が使えません。王族に生まれますが第三王子でまだ幼いため体力も世間的な信用もなく、物語の途中である能力を授かりますが、不足するマジカを埋めるには足りないほど。さらに理不尽な世界の現実が、力不足の彼を苦悩させます。けれど主人公の真っ直ぐな性格は協力者を増やし、前世の知識を活かしながら色んな人に支えられながら成長していきます。果たして主人公はこの世界を救う立派な王になれるのか。