評価:★★★★☆ 3.8
夜の真黒な海面を、一隻の漁船が進む。
老漁師の吾郎は、孫の出産費用にと、息子の東吾を連れ、何年かに一度表れる“潮の道”に密漁に出た。
漁は、うまくいき、鈍色の古代魚が釣り上げられる。
だが、突然海の底から、巨大な“竜”が襲い掛かかり、吾郎は、東吾と船、そして生まれてくるはずだった孫までもを失ってしまう。
嫁娘の岬と、失意の中に暮らす吾郎の許に、地震学者の島野が訪れ、やがて来る“大規模地震”と共に、再び“竜”が現れること示唆するのだった。
“竜”への復讐に執念を燃やす吾郎。
岬も、悲しい生い立ちの末に掴んだ幸せを、突然失ってしまったことが受け止めきれず、吾郎に従って、竜への復讐を決意する。
島野と古生物学者崩れのブローカー斎藤が、“竜”の正体と、“潮の道”の出現の謎を解き明かす。
刻一刻と兆候を濃くする“大規模地震”。
“竜”は再び現れるのか。
話数:全52話
ジャンル:アドベンチャー
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
漁の途中、巨大な未確認生物に息子を殺された老人は復讐を誓う。どうやら、そこには地震が関わっているようで……?このあらすじだけを見ると、何やらSFパニックホラーのように感じるかも。しかし、本作の内容はどっしりとした本格文芸。港町を舞台に老人・裏社会の仲介人・地震研究者などの人生が交錯します。1人1人の描写が上手く、「キャラクター」ではなく「人間」という雰囲気。空気感も現実世界そのもの。海・地震、大いなる地球の自然に対する畏敬とロマンを感じる作品です。
読み始めるといきなり、主要人物かと思っていた人物が亡くなる。息子、孫を失った老人、そこへ地震学者、ブローカーの登場など人間模様が良く表現されている。竜という存在を巡って、復讐、研究、金銭、それぞれの思惑の描写が良く書けている。それぞれの思惑が叶うのか、今後楽しみである。個人的には息子、孫を失った素朴な老人に竜への復讐を叶えてもらいたいと思うが、作者がどう纏めるか、アップするのが待ち遠しい作品である。
最初は何気なく読んでいたが、引き込まれる魅力がある。実際、理論においてもかなり勉強しないと描写出来ないことが多い。地震学者のセリフを書くのも知識がないと書けない。それと相まみえる「竜」という伝記的なものを融合されている。更にそれぞれのキャラクターが持つ個性も上手く描いている。この話は何処へ向かうんだろうかと続編が楽しみだ。お勧めしたい。モササウルスに復讐、対決という終焉を予想していた。しかし、この展開は宿敵の親子像を見て心の葛藤、そして愛が対決に終止符を打つのか最終章が知りたい。主人公の、吾郎は今まで漁に出て帰らなかった同胞を思い出し、モササウルスに 喰われた息子も風に吹かれてて帰らぬ人となった同胞と同じだと解釈したのか?鯨を打つ装備を持って行きながら使わず帰港。吾郎は息子の元へ旅立つ。私は筆者の深い深い愛情の描写があったと感じ感動した。