評価:★★★★☆ 4.4
高校生の内藤祐哉は、身罷(みまか)った異世界の王の身代わりとして突然かの世界に掠め取られる。
友人・佐竹は彼を追うが、ごくわずかの時間差から、向こうではすでに七年もの歳月が流れていた。
言葉も分からぬ異世界で内藤を探す佐竹。
が、やがて出会った国王が成長した内藤にそっくりで――。しかし、彼に内藤としての記憶はなかった。
敵対する二つの国の二つの鎧の秘密に迫り、佐竹は敵国ノエリオール、黒き鎧の王と戦う決意をするのだったが――。
※つづれ しういちによるオリジナルファンタジー小説です。小説家になろう/カクヨム/
アルファポリスにて公開中。他サイトへの無断転載は許可しておりません。
※R15の残酷表現を含む部分にはサブタイトルに※を入れています。
※第一部を読了されましたら、Tiroroさまによる二次創作、「白き鎧 黒き鎧 ピーチ味」もお楽しみいただけるのではないかと思います。よろしかったらどうぞ^^
http://ncode.syosetu.com/n9567cz/
※全て読了されますと、同じくTiroroさまによる「白き鎧 黒き鎧 わさび味」もお楽しみいただけると思います!
http://ncode.syosetu.com/n5969dd/ です。
話数:全141話
ジャンル:タイムトラベル
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
長い、長い夢を見ていました。そこは私の知らない世界でした。そこで私は、あるときは友を探し、またある時は自由の無さに自らの死さえも考え、時には不思議な空気をまとう青年に恋慕し、そして、辛く苦しい儀式にも耐えました。知り合う人はみな、片側から見れば恐ろしくも、深く知れば悪意なく、また屈託なく笑いかけてくれました。いつの間にか大きな意志に飲み込まれそうになって、それでも目的のために前進する。そんな夢を見せてくれる物語でした。そして今、夢から覚めたあとも、ときどき、キャラクター達が夢の中から語りかけてくるのです。
異世界転移は数あれど、これほどまでに重厚な世界観を持つ作品があるだろうか。ご都合主義の世界は存在しない。この世界で生きていくために、必要な言葉も生活習慣も、そして彼らを作り上げるとある信仰まで、私たちはひとつひとつ学んでいくことになる。友のためにためらいもなく先の見えない世界に飛び込む少年に魅入られたなら、あなたの今日の一日はこの作品に捧げることになるだろう。物語の中にいるのは、血の通った人間ばかり。使い捨ての登場人物など誰一人いない。誰もが己の信念と大切なものを守るために、もがき苦しんでいる。その選択の中で、多くの人が傷つき血を流すこともあるかもしれない。それでもなおこの作品において、一方的な悪というのは存在しないのである。誰もが己の大切なもののために戦っている。そしてその信念は見方と立場一つで、正義にも狂信にもなりうるのだ。つづれ しういちという作家の原点がここにある。
この物語は題名どおり、白と黒の二つの色によって成り立っていると言っても過言ではない。勿論、このほかの色もあるが、圧倒的に印象づけられるのはこの二色によってもたらされる印象が大きい。真摯に、恐れることなく脅威に立ち向かっていったのは誰なのか空虚な絶望を胸に抱え、圧倒的な力を見せつけるのは誰なのか小動物のように頼りなく、それでいて頑なな心を和ませるのは誰なのか柔和で清潔な心を持ち合わせ、平和を願うのは誰なのか揺るぎない信頼と、揺るぎない忠誠忠誠故に歪めてしまった事実完璧を求める故に及んだ悪行なにが善でなにが悪なのかなにをすれば闇が払われるのかなにをすれば光りを見いだせるのか不気味な兄星が見下ろす世界で 繰り広げられるこの物語誰も彼も、みな信じるもののために、信じる正義に向かって突き進んでいくその先にあるものは、因習の終わりと新たな始まり――
癖のない端正な文章。それが描写する、個性豊かな人物たちと、よく練られた世界観。主人公の佐竹君の武士のようなカッコよさは、話が進むごとに研ぎ澄まされ、どんどん男ぶりがあがってゆきます。内藤君は可愛いタイプ。子犬のような愛らしさが読み進むにつれてパワーアップしてゆき、これは佐竹君ではなくても「しょうがないな」と、ため息が出てしまいそうに。この作品の魅力は沢山ありますが、やはり一番心に残ったのは、人物たちでした。描き出される人物たちはどれも一癖あり、この人もあの人もいいなあと思いながらも、読み手のお気に入りを定めます。レビュワーはこの作品で、お気に入りを決める楽しみを存分に味わいました。やはり最後には佐竹君を選んでしまった読み手です。ぎろっと睨むような眼光に射貫かれてみたい、などと密かに思っております。既にたくさんのファンがついている作品ですが、更に広まって欲しいです。
作品のどこが魅力的で面白いかは他の方のレビューに任せて。読めばわかる!と短く伝えたい。ある私の一日のこと。今日は時間がある。ごくり。あの評判の長編物語に手を出してみようか。お茶を淹れ、そのページを開く。…。「カアー」カラスの声に握りしめていたマウスを離す。気付けば夕暮れ、物語は終盤であった。それくらい引き込まれる物語だった。この小説にサブタイトルをつけたいと思う。(このネタ二度目)「男だらけの異世界合戦」※ポロりはありませんそう、ジャンルは異世界転移ファンタジー。ヒロイン不在の、胸熱な男同士の物語!説明は以上で冒頭に。粘り強く繰り返したい。読めばわかる!と。思考が至高に過ぎていく時間を、約束をするからと。
若者の青春の軌跡。言うは易いが、中身は壮絶です。異世界に掠め取られた友人、内藤を救う。主人公である佐竹は、ただそれだけのために、迷うことなく潔く、先もわからぬ暗黒の中へと身を投じます。そして、言葉も通じない異世界において、寡黙だが彼の持つ真摯さと、揺るぎない美徳に人々は驚き、惹かれ、味方してゆく。それは読者も例外ではないでしょう。空に浮かぶ巨大な「兄星」に見下ろされた世界に隠された歴史、出会う人々の過去に触れながら、佐竹と内藤は、時に懊悩しながらも答えを出そうとする。その様は、読むというより一つのドラマを見るに近いように思います。それは、緻密に構成された世界で正に人物たちが生きていることに他ならないからでしょう。先達の方々のお言葉からもわかる通り、作者様はもちろん、読者愛にも溢れた作品です。BL臭は気になるほどではないので、男性も食わず嫌いせず読んで頂きたいです。
この『白き鎧 黒き鎧』との出会いは、私がツイッターを始めたばかりの頃。つづれ先生に、私の作品を読んでいただいて、じゃあ私もお返ししなくちゃって感じで読み始めました。実際に読んでみると世界観とか、キャラクターの魅力とか、今まで読んできたネット小説とは一味も二味も違いました。どのキャラも、この世界の中で生き生きとしていて、生活様式とか頭に浮かんでくるんですよ。いつしか私はこの小説に夢中になり、お昼休みになると更新されたお話を夢中で読むようにまでなっていました。つづれ先生は、BLっぽさとか気にしてましたけど、内容はちゃんとNLです。でも、男達の友情とか、切なさとか、壁ドンとか……そういうのに、ついキュンキュンしちゃいます。さあ、読むかどうか迷ってるそこのあなた……ぜひ読んでみてください!そして、私と一緒に男達の友情物語にキュンキュンしちゃいましょう!
内藤は苦しみ、喘ぎ、目の前でのた打ち回っている。その体を、またしてもその「黒い腕」どもが、もぞもぞと囲い込み、締め上げて、その「暗黒の門」のなかへと引きずりこもうとしていた」このページは何度も何度も読み返しました。息を飲むくらいのすごい迫力のある文章で、作者さんの文章力の素晴らしさは、読んでいて、全てが映像のように浮かんでくるところです。詳しく書かれているが故、しかしながら読みやすい。是非みなさんも、こちらの作品を読まれて頂きたいと思います。途中で読むのをやめられなくなりますので覚悟して読んで下さいませ。
既に文字数414202文字。相当長い長編小説です。 内容は異世界に攫われた友人・内藤を救う為に自分も飛び込んでしまった佐竹の物語から始まり、佐竹と内藤の視点を中心に進んで行きます。 それは二つの大国を巻き込む、鎧に纏わる物語です。馬が主要な乗り物の時代で、特筆すべきは、魔法や魔獣は一切出ない事です。詰まる所それは、この物語が人間に根差しているという事。見せたいのは人間ドラマ、魅せたいのはその世界観。圧倒的な緻密さで一つの世界を構築しています。 既にレビュー2つ入っている有名作です。 それでも僕が敢えていう事があれば、とりあえず二人の高校生が異世界に行く所まででも読んで下さい。それから先、読むのも止めるのも、あなたの自由です。自信はあります!(作者じゃないけど。笑) 最後にポイント、これはSF要素の強い異世界物です。そして、若者達の青春群像劇です!
たった四百字でこの小説の魅力を語ることは無理だ。ストーリーについては他のレビューを読むなり、作者のあらすじを参考にしてもらいたい。本音を言えば、すぐにでも本文を読んだ方が早い。面白さは請け合う。ファンタジー小説を書くということは、盲人に大聖堂の絵を描かせるようなものだと僕は常々思っている。見たこともないものを、言葉の魔力でもって読者の頭の中に作り上げることなのだ。この作品はそれをかなりのレベルで達成している。デテイルへのこだわりがすごいのだ。そういう丹念さがリアリティを生む。佐竹と内藤の出会いから、異世界への冒険、多彩なキャラクター、すべてが活き活きとしている。ある意味鉄板なストーリーに飽きが来ないのは、細部がしっかりと描かれているからなのだ。すでにかなりの長編だ。二の足を踏む人もいるかもしれない。騙されたと思って読んでみて欲しい。損はさせない自信はある。