評価:★★★★☆ 4.1
ゆかりさんはわたしの一番の友達で、古風な家に住まう幽霊です。
生まれつき重度の病人だった彼女が幽霊として再びわたしの前に現れてから早三年。この奇妙な関係にも慣れてきました。当然学校に通うこともできず、日長一日ひとり寂しく広くて古い家の縁側に腰掛け、雲など眺めるゆかりさん。
そんな姿を思い浮かべる時、わたしはとても切なくなります。放っておくことはできません。
だからわたしは、可能な限りの時間を使ってゆかりさんと遊ぶことにしました。少しでもいい、彼女の心労が和らいでくれることを願って。ゆかりさんのためにわたしはいつもお話を持っていきます。それは日常のちょっとしたこと。
奇妙だったり、
不思議だったり、
不気味だったり、
良く分からなかったりする。そんなお話を。*「アルファポリス」にも投稿しています。https://www.alphapolis.co.jp/novel/454485125/546216463
Copyright(C)2019-ユエ
話数:全79話
ジャンル:ラブコメ
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
幽霊になってしまった親友を思う主人公の視点で語られるとても温かい物語です。幽霊のゆかりさんはとても穏やかで知的で美しい人で、自分の運命を呪ったりはしていません。どこか悟り人のような雰囲気すら漂わせており、幽霊になってしまっても、その生活の中に小さな幸せを見つけて、笑顔になることが出来る、そんな素敵な人です。全てをありのままに受け入れひっそりと暮らすゆかりさんを見つめて、ゆかりさんのためにやきもきしてしまう主人公の視点がとても切なくて暖かくて、読んでいるだけで優しい気持ちになれる作品です。
ゆかりさんは幽霊です。彼女の身体は、病院のベッドで3年間も目覚めないまま。でも、魂は体を抜け出して、古風な家で起居しています。親友のみぃちゃんが毎日訪れてくれるので、彼女の生活はとても楽しいものになっているのです――。物語は、ゆかりさんの親友みぃちゃんの視点で進みます。みぃちゃんをからかい、いたわり、時には真剣に心配するゆかりさんと、彼女に翻弄されながらも、とても大切に思っているみぃちゃんの心の動きが、細やかな描写で描かれ、ふたりの強い絆と信頼を感じさせます。ふたりが醸し出す、暖かくて素敵な空気を、是非感じて下さい。
物語は終始、主人公「みぃちゃん」の視点から、です、ます調で語られます。淡々と語られる中に、みぃちゃんのゆかりさんを想う優しい気持ちがひしひしと伝わってきて、何とも言えない優しい気持ちになり、時には胸を締め付けられる様に切なくなります。パソコンで動画を見たり料理をしたりする、成長する幽霊ゆかりさんも、非常に魅力的に描かれています。通学路一つとっても非常にほのぼのとした優しさが伝わってくる描写で、読み始めて直ぐに作品の世界観にひき込まれます。作品を通して其々の人物の優しさや苦しさが伝わって来て、物語の序盤にも関わらず、何度もグッと込み上げて来る物があります。まだプロローグですが、これからの「みぃちゃん」と幽霊である「ゆかりさん」がどうなって行くのか。展開が非常に気になります。皆さんもこの素敵な世界観に是非、触れて頂きたいと思います。本当にお薦めの作品です。