評価:★★★★☆ 3.7
時は二千五十年。舞台は神戸沖の人工島、いざなみ県、いざなみ市。
『マトリ』の『特別強行班』に所属していた忍足悠は、ある日、内閣直属の非公開執行組織、『治安会』にヘッドハンティングされた。組織の一員となった悠は、ボスである後藤から指示を受け、特になんの感情を抱くこともなくマシンのように悪人の排除を繰り返す。仕事をしているか、眠っているか、愛猫とじゃれているか、たまに飲みに行くか、彼の行動はそういったことに終始している。もはや生活自体がルーチンワークと化していると言っても過言ではない。
彼自身、あまりやる気を表に出すほうではない。覇気があるタイプでもない。
とはいえ、齢三十歳。生きているうちに色々なものを見てきた。色々なことを耳にしてきた。その中で得た知見、経験則については活かしてやろうという意気込みくらいは彼にもある。
※2020年3月10日、加筆、修正しました。ご了承ください。
話数:全26話
ジャンル:サスペンス
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:R15
大切なものは、なるべく作らないようにしてきた一匹の黒猫と、白いRX-7僕のような人間に、それ以上は必要ない躊躇いも、容赦も、共感も、理解も、愛情さえ――人殺しに要らない物は、いつか僕を殺すことになる非公式執行機関「治安会」忍足は与えられた目標を、確実、かつ効率的に仕留めてゆく仲間達の人間性に敬意を示す一方で、冷徹な殺人者であることに拘り続ける忍足自分に向けられた愛を拒絶したことで、彼はやがて大きな代償を支払うことになるのだった実戦部隊を描いたこの作品が描こうとしているものは、銃撃戦でもなければ、謀略でもないそれは忍足という人間の正しさであり、強さであり、罪であり、弱さである敵として現れたとき、自分のことを撃てるのか同僚に「撃つ」と答えた彼を試す、より残酷な運命彼が下した決断は正しかったのか、それとも間違っているのかあなたもまた、選択を迫られているのだ
「治安調査会議」の新入り、忍足 悠の日常は静かに流れるー 表には浮上しない諸悪を淡々と始末し、緩やかながら煽情的なジャズの音と共に家路につけば、帰りを待っていた猫と戯れてそれで一日は終わる。 どんなに凄惨な案件があったとしても、悠の日々は一日いちにちを「点」を穿つようにして、独立して続いていくかのようであり。 そんな「日常」に無遠慮に割り込んでくる「治安会」の仲間たち。ニンゲンへの関心が希薄な悠も、野卑だが純粋な、そんな輩たちに引き込まれるかのようにして。 ……いつしか点と点を線で結ばれるような「日常」を送るようになっていくー。 これは、円環の中を回り続けるように見えるニンゲンたちの、相互作用によってもたらされる、螺旋のリズムの物語である。 軽妙洒脱な会話劇も洗練されたメロディーを奏で、際立たせる……そこにある、静けさのハードボイルドを。
ある日、彼は麻薬取締局からヘッドハンティングされ『治安調査会議』なる組織へ迎え入れられる。治安会には揺らぐことなき正義がある。憎むべき犯罪、犯罪者を許すことはない。それは時に非情でもある。彼にとって大切なのは、職務の遂行、愛猫ミーちゃんとのふれあい。この二つさえ満たされていれば良かったのだ。彼、忍足悠は人生と人間関係を達観している。それは一種の諦観にも通じるかもしれない。だが厳しくも時折父親のような距離で接するトップ、尊敬出来る先輩バディ、実直な後輩、その輪の中で自分でも知らなかった感情に気付いていく。最後の一文にじわじわと胸がやられる。ペインキラー、その意味をしる時が来る。硬派な内容ながらエンタメ性のある、読みごたえたっぷりの作品だ。是非一読を!
私は今、非情に困っている……。 何故なら、この作品を語るのに150文字も要らないからだ…………。『文章力が素晴らしい?』『キャラクターが魅力的?』『表現力に長けている?』 いぃんだよ細けぇ事は!!!! 孤独を崇拝し哀愁を靡かせては仕事を美とする男の背中は、語る物では無く感じる物だ!! 新たな男のステージが今幕を開ける! 何も言わず―――読んでくれ!!