評価:★★★★☆ 3.9
永遠に雨が降りつづける小さな都市国家、その名も「雨の街」。
十五歳の少女・結原ヒカリは、六年前に記憶を失くし、その街で拾われた。雨の街では食料の大部分を隣国である「風の色」から輸入していたが、その食品で異物混入事故が次々に発生。
国家間の関係上、風の色にクレームを入れられない雨の街は窮地に立たされた。ある大雨の夜、謎の異物を飲み込んでしまった女の子がヒカリの前に現れ、こう告げる。
「異物混入事件を解決して。それがお姉ちゃんの失くした記憶と関係しているから」
自分の正体とは何なのか。
街の外の世界はどうなっているのか。異物混入をなくし全ての真相を知るため、風の色へ旅立った。
辿り着いたその国は、高度に文明が発達した巨大都市。
ヒカリは犯人をあぶり出すため、自ら異物混入事件を引き起こすことになる――!?
※「カクヨム」「アルファポリス(外部リンク登録)」にも掲載していますが、収益は受けていません。
話数:全35話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
童話のようであり、推理小説のようであり、ファンタジーのようであり、ボーイミーツガールのようであり、やっぱり童話みたい。総じて優しい絵本のような小説です。荒削りな印象もありますけど、他の人には書けないものが、描かれています。ドンデン返しも用意されていてるのですが、序盤の印象からそのように展開するとは予想が困難なので、そこは上手いなと思いました。
はじめは童話的な印象を受けますが、途中から小気味良いほど現実味を感じられるようになります。しかし幻想的で穏やかな雰囲気はそのまま、物語がどう進むのかなぁと思っていたら良い意味で裏切られます。シリアスになりそうなところも、優しさで包みこんだようなお話です。タイトルである「from 雨の街から」、「from」と「から」被ってるけど? なんて思ってはいけません。単純な面白い小説に飽きた方におすすめ。