評価:★★★☆☆ 2.8

主君の無茶ぶりに、半ギレしながら応えていくエリスは、親衛隊の若き女隊長だった。見た目はお嬢様でも貴族が嫌いで口は悪く、主君にもタメ口を利いて報告書はへったくそな絵日記。特殊な才能を持つ犯罪者だけで結成された諜報部隊を、最前線できっちり仕事をこなす姿で率いていく。

悪巧みをするのがシュミなのかというような、腹黒紳士達がはびこる時代では仕事に事欠かない。襲撃された輸送隊の調査から始まった陰謀劇は、王子の謀反、そして帝国を二分する内乱へと続いていく。

陰謀家達はそれぞれの思いを胸に秘め、計略を張り巡らせる。陰謀が陰謀を呼び、陰謀を一つ辿れば別な陰謀に行き着く。途切れることのない悪巧みに翻弄され、エリスは「早く死ねばいいのに」と唱えながらも職務をこなした。

ご都合主義にならないように、登場人物にはそれぞれの立場を持たせてあります。生きた人間として、目的や信念、作戦計画に従って行動します。主人公を持ち上げるために、突然湧いて出てきて消えていく、そういうキャラクター達ではありません。

主人公はエリスですが、エリスを中心に世界が回っているのではない。むしろ、途切れることなく続く陰謀によってかき回される世界の中で、自分の立ち位置を守るためにもがく物語です。

重めの話かも知れません。素人の、そんな凝った話を読みたくないという向きもあると思います。でも、たまにはこういうのもいいじゃないですか? だめ?

この系統の小説としては、だいぶ明るめなはずです。シリアスを演出するために、虐殺や略奪など、凄惨な出来事でダークさを醸し出すのはテクニックの一つです。が、そういうのはありません。それなりに死人は出ますが、殺さなくていい人間まで殺したがる猟奇殺人者は出てきません。

私にとっては、これも王道ファンタジー。三つ昔くらい前に読んだファンタジー小説の雰囲気を、踏襲したつもりの作品です。


話数:全33話

登場人物
主人公属性
職業・種族
  • 未登録

時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録

その他要素