評価:★★★★☆ 4.3
かつて幼女王と呼ばれていた女王が治めている国があった。大陸北部にある、その小国の名をリスタ王国という。
美しく成長した女王や、彼女を助けた仲間たちが、その後どのように生きたのか……幼き女王が結婚してから十年。
語られることがなかった、その後のお話。※この作品は、幼女王と再出発(リスタート)の続編であり後日譚です。
この作品から読んでも大丈夫なように解説を入れていくつもりですが、まずは幼女王と再出発(リスタート)をお読みになることをオススメします。
話数:全170話
ジャンル:エピック・ファンタジー
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:R15
今作は『幼女王と再出発』の後日譚とはされているが、この二編をセットとして一つの物語と考えたほうがいいだろうと思う。 前作では幼女に過ぎなかった女王は美しく成長し、なおかつ変わらずに英明なる姿を見せてくれる。 海を跨いで群勇が割拠する世界を股にかけ、僅かな国土しか持たない国が大きな存在感を示すに至っている。 そうでありながら彼女リリベットは人である。夫を愛し、時に拗ね、子供たちを慈しみ、正しき心持つ国民に慈愛を振り撒き続ける。 それは一つの象徴の像だろう。彼女一人でできるのは僅かなこと。彼女を慕って集まった多くの人々が成し得た偉業。 それはこの世界で語り継がれていくのだと容易に想像できる。 ページを捲れば、あなたもその語り部の一人となれるのだ。
「この続編は心配なく読める!」「幼女王と再出発」から十二年後の世界が舞台の本作。前作当時から立派な(幼)女王であったリリベットも既に二児の母。彼女の周囲を固めた一癖あるキャラ達も時の流れに従い相応の成長を遂げている。前作に対する後日譚としての続編は難しい立ち位置となりがちになる。往々にして読者が造り上げた前作に対するイメージを裏切るような「波乱」を続編の物語の「核」に据えてしまうからだろう。しかし「ほのぼの」進行の本作には、そのような無理と蛇足が存在しない。懐かしい人々の近況が綴られつつ、新たな登場人物達が活躍する。要所に今後の波乱を匂わせつつも、お話はあくまで「ペケさん風」に進んでいく。前作から、リリベットのその後を想像した読者に「ストンと落ちる」内容で綴られる本作は、正しい意味での後日譚と言える。そして、前作を未読の方には、是非そちらを併せて読む事をお勧めしたい。