評価:★★★★☆ 3.9
アルル・ジョーカー、十三歳。
盗賊団の下で育ったろくでなしの少女は、新しい人生を求めて冒険者となることを決意する。期待に胸膨らませ、馬車に飛び乗り、大きな街を目指して走り出す。リンネ・アルミウェッティ、神官。
"捕食者を喰らう者"との二つ名を冠し、ベテラン冒険者へと上り詰めた悪食な神官は、しかし孤独な日々を謳歌していた。女神の導きにより、出会ってしまった異端な少女たちは、共にコンビを組んで冒険へと繰り出していく。美味なるスライムを求めて彷徨う、飽くなき冒険心が織り成す、一大巨編超大作的なファンタジーの幕開けである。
「お味の方はいかがでしょう?」
「なにこれ、唾液味? それとも胃液味?」
「スライム本来の味です」
これは意外、美味でした。だいたいこんな感じ!
Copyright(C)2019-ユエ
話数:全79話
ジャンル:アドベンチャー
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
この作品は読んでみると分かるのですが……作者様のスライム愛を感じます。必ず異世界ものに出てくるスライムを『敵』として話の軸になっているのがもう面白いのです。それにこの作品のキャラもしっかりとしています。キャラのおかげもあって体験型小説のようにこの作品の世界に入り込めました!一から冒険者として駆け出していくのでリアルな異世界を体験出来ます!ぜひチートやテンプレに飽きた方々にオススメできる作品です!
主人公、アルルちゃんは元盗賊の女の子。さらっと盗賊時代のエグイ過去を語ったり諦めが良かったりする可愛らしいモノローグからは想像出来ないほどのドライな性格のギャップが魅力的な子でした。相棒でありタイトルでもあるスライムイーターも淡々とクールで単調に巨大なスライムをぶった切って捕食する見ていて安心出来る頼れる仲間です。そんな2人が割とヤバめなスライムを淡々とぶっ殺していく姿が読むものを不思議と惹き付ける作品です。女主人公視点の作品の教科書の様な作品なので非常に参考にさせてもらいました。
主人公のアルルちゃんの冒険者生活を描く作品。 そんな彼女は、悲しい過去を持つも、それにめげずに頑張る女の子。そんな彼女の姿に共感を持つ読者も多いはず。 そして、押し付けるような説明感がある作品が多い中、語り口調なのに読者に説明しっぱなしでない所も魅力の一つです。 疲れた時に呼んでも、スラスラ読める。 そんな作品はあまりないと思います! お時間のある方、是非、ご一読を!
自分はタイトルで読む作品を決めるタイプで、タイトルを見ればなんとなく話が分かるタイプなのですが、この作品はまずタイトルが魅力的で興味を惹く上に、ストーリーがかなり予想外でした。 もちろん、良い意味での予想外です。 きっとすごく単調な話で、転◯ラが好きな人が気に入る作品かな~と思って読んだら期待を良い方向で裏切られました! 予想していたよりも黒い話で、それなのに淡白という印象をうけました。 もっと言うと、設定がしっかりしている話を文章力で読みやすくしてある作品だと感じました。 自分は先が気になって仕方ありません。 まだ読んでないという人は是非読んで下さい! 更新ペースもかなり早いので、毎日の楽しみになりますよ!
最初から強い主人公と言う訳ではなく、正に王道な冒険者として1からのスタート。戦う相手はスライムだけではなく、人間関係も面白く話を進めるとキャラクターの一人一人が濃い性格だと解ってきます(笑)激しい戦闘とまでは行きませんが、戦闘シーンの文章の書き方が丁寧だけにキャラクターの動きが解りやすいですもし、書物が苦手な方はこの作品を見本としても良い程に丁寧な書き方をしているので勉強になります╭( ・ㅂ・)و グッ
何だこれ、何だこれは!非常に好き!レビューを今書いている私が女主人公が大好きだというのもありますが、その贔屓を差し引いても盗賊の娘と悪食の神官というあんまり思いつかないような組み合わせから織りなすストーリーは面白いの一言です!文章がとても丁寧で、「いまこのキャラは何をしているの?」といった疑問は余り浮かんできません!一人称で味わいたいあの感情、「このキャラの目線で私は物語の中にいる!」この素晴らしき感情を味わえる作品です。非日常を味わいたい人にはぜひとも読んでいただきたいです!
本作品の特長は何といっても一歩引いた立ち位置で書かれる地の文。これが物語の第一線に立つ登場人物自身ではなく、ちょうど読者の目線と重なるため、あっという間に物語に引きずり込まれます。次に目立つのが書き手の高い文章力と物語のテンポの良さ。すぐに情景が浮かぶ描写と、淡々と進んでいくのかと思わせながら急激に変化する話の展開が読者をさらに引き付ける。スライムの討伐1つにしっかりとエンターテインメント性が詰め込まれているから、きっと読んだ方は驚かれるはずです。
これはまた、独特な小説だ。しっかりしているのに、とても個性的。序盤、一見ほのぼのに見えたストーリーは、2章中盤から一気に変じて、がっつり重めのファンタジーへ。しかし、文体のコミカルさは失わない。主人公は一歩下がった立ち居ちにいるようでありながら、気付けは物語の中心で大立回りを演じている。丁寧な一人称で綴られる地の文は、言い回しが軽妙で、読みやすさを優先しているのにもかかわらず、描写は流れるように美しい。主人公目線がしっかり意識され、非力ながらも裏の顔をもつ不思議なキャラクターとして確立している。随所に散りばめられた要素と、意外性に富んだ展開が心地よいギャップを作り出し、他に類を見ない作品に仕上がっていると感じた。この奇妙な面白さは、もはや読んでもらうことでしか伝えようがないと思う。なんだこれは…。そう戸惑ってしまう物語が、読み手を待っている。
私が思うこの作品の最大の魅力は地の文にあります。基本的に主人公の語りは冷静で、状況や他キャラの印象が読者としての私たちの頭の中にスムーズに入ってきます。 しかし、ここぞという時に現れる「熱さ」というか「深み」というか。そういったものによって私たちは、いつの間にか物語の登場人物の一人として、この作品の中に引き込まれているのです。 常に主人公に感情移入できる作品、物語の世界にどっぷりと浸かれる作品ではありませんが、「読んでいる私」と「登場人物と化した私」という立場を慌ただしく行き来するという不思議な感覚を味わえる作品です。 私も一人称の小説を書いていますが、「こういう書き方があるのか」と大変勉強になりました。 是非ご一読ください。
盗賊団から逃げ出した少女が異世界で生き抜いていく物語であり、タイトルにある通りスライムが主題の物語でもある。少女の語り口は始終冷静で、かといって情がないわけではないというバランス感覚はなかなか主人公としてよくできている。冒険者として危ない橋を渡らず、街の掃除人として可能な限り平穏に生きたいと願う彼女が、どうしても巻き込まれてしまう残酷な現実の姿。それが少女の語り口に実に合っていて良い雰囲気を出している。そしてスライムだ。ファンタジー世界で雑魚敵としての地位を確立しつつあるスライムは、この世界でも取るに足らない敵として認識されている。そこに油断をしてしまいまうと、もしかすると痛い目に遭うかもしれない。そんな、一筋縄ではいかないキャラクターとしてのスライムが、物語に深みを与えている。物語は今、序章が終わったあたりだろう。これからどのような展開が待っているか楽しみな作品だ。