評価:★★★★☆ 4.3
故郷の新茶市を訪れていた「鎌ヶ瀬 偉達《かまがせ いたち》」は、閉場後に森へ向かう不審な女子高生に気付く。
祭囃子の音に引かれて後を追うと、神社の境内には異様な装いの人々が集っていた。その場に迷い込んだ子供たちを連れて引き返そうとすると、振動と共に神社が動き出す。
偉達が足を踏み入れたのは、死者をあの世へ運ぶ『灯籠廻船』だった。
話数:全31話
ジャンル:ホラー
時代:現代
舞台:未登録
雰囲気:シリアス
展開:未登録
完結日:2019年6月16日
生と死の狭間。死者を運ぶ船である『灯籠廻船』に迷いこんだ主人公たち人間と、彼らを排除しようとする「ヤツマタ様」という怪異の死闘を描いた作品です。人智を超えた超能力を振りかざすことで、これでもかと容赦なく命を奪おうとするヤツマタ様に対し、ただの一般人である主人公たちがどう生き延びるかが見どころになっています。敵であるヤツマタ様は八人いるのですが、それぞれが個性あふれる凶悪な能力を所有しており、「さすがに今回は無理なのでは?」と手に汗握りながらハラハラする展開の連続でした。そして、ただのホラーや超能力バトルでは終わらず、最後にはあっと驚くようなどんでん返しも待っています。テンポよく読み進められる娯楽作品でありながら、命や親子関係といった深いテーマについても考えさせられる名作なので、「ホラー」というジャンルを見て敬遠している方も、これを機会に読んでいただけたらなぁと思います。