評価:★★★★☆ 4.3
「星になって見守っている」という母の遺言により、日々独力で空を飛んでいた少年ソラは、日課のフライトと称した飛び降りジャンプで命を落としてしまう。
目を覚ました先は、面白い死に方をした人間が集められたという異世界。その特色のある死に方を買われ、100回分生き返れるという条件下の中、残った者が勝者になるというデスゲームに巻き込まれる。
味方意識の強い面々に囲まれながらも、時には真剣勝負を繰り広げ、脱出に向けて先駆けていく。生き返りの謎、巻き起こるどんでん返し、全てが空へと繋がり、絶望の果てに掴む最高のラストが待ち構える。
※完結済。「カクヨム」でも掲載。
※評価1600ptを突破しました!
注意:全年齢対象
この作品は『デスゲーム』ものに分類されるのであろうが、未だかつてこのようなデスゲームものがあっただろうか。主人公は高所からの飛び降り(自殺じゃないよ)で死亡という一風変わった死に方を買われて、とあるゲームに参加させられることになる。だが、そのゲームでの命はなんと100個もあり、それが尽きるまでは何度でも死に戻りができるという変わったゲームだ。チート能力もゲームの才能も持ち合わせていない主人公は、そのゲームの中で必死に生き残ろうと足掻く。その様も魅力的だが、この作品の特徴は『99回死ねることで、命がまた違った意味を持ってくる』ということだと思う。が、興味深いことにこのような設定を取り入れながらも、決して作者さんは命を軽く扱っているわけではないということである。100回の生と99回の死で主人公は一体何を考え何を得るのか、ぜひ作品を読んで確かめていただきたい。
プロローグから様々な伏線が張られてますが、難解ではなく、読みやすい文章。各章ごとの熱いバトルは少年マンガの王道展開を思い起こさせ、丁寧に描かれた登場人物達は、全員魅力があり、そこから生み出される物語にどんどん惹きつけられます。現代ファンタジーではありますが、どこか童話的な要素を持つ独特な作品です。群像劇が好きな方はハマると思います。是非ご一読してみて下さい。
主人公・ソラは、少しでも高く飛ぼうと崖から飛び降り、命を落とした後、謎の力によって、奇妙な島へと舞い降りさせられる。九人のプレイヤーと互いに争い、屠り合うデスゲームのプレイヤーの一人として――。 この作品で特筆すべきは、登場人物の心情描写の巧みさ。 ソラをはじめとした、島に集ったプレイヤー達……彼らは、それぞれに個性的で、物語の中で確かに“活きて”います。 彼らは、自分で考え、行動しています。 ある者は主人公の命を狙い、ある者は他のプレイヤー達を出し抜こうと暗躍し、ある者は土壇場で裏切りますが、彼らはあくまでも“敵役”であって、“悪役”ではない事が、彼らの過去の回想によって明らかとなります。 彼らは決して悪人では無かった……その事実が、クライマックスにおいて、一層の感動を生み出すのです。 ――読み終わった時、貴方は、どこまでも蒼く高い空を思い浮かべている事でしょう――
題材としては、一応バトルロイヤルものに分類されるんでしょうけど、この作品の作者様、ネガティブな人間像の造形が上手いです。キャラものとしても、かなりのレベルなんじゃないんでしょうか?確かに、戦闘描写はエグいし、痛々しい箇所も多々あるんですが、そういうのも平気、という方は是非、読んでみて欲しい。間違いなく構成はシッカリしてるし、ちゃんと完結している安心感もあります。ワケありキャラたちの「ワケ」のドロリとした味わいにハマるでしょう。
空に憧れを抱いていた少年ソラは、ある日、日課のフライトで命を落としてしまう。ソラが目覚めた場所は異世界。そして彼はとある奇妙な条件付きのデスゲームに参加させられてしまうことに。 何度も死を味わうキャラクター達により思い知らされる命の重さ。そして一度命を落とした者達が必死に生きようとする様に、きっと貴方は心を揺さぶられることだろう。なろうの『異世界転生』のテンプレから大きく脱したこの作品。これ程までに完成度の高い作品を読まないのは損をしていると言っても過言ではない。一読者としてこの作品を全力で応援します。
ものすごい圧倒された。まだ一章しか読めていないが、こんな素敵な小説に出会えるとは想像だにしなかった。永遠の生命や、未来の職業など多様な側面について考えさせられる力作だと感じた。作者はあまり感想をねだらない人なので、意外と作品について知る機会がなかったのだが、読んでみると驚いた、これはひょっとすると世紀に残る傑作かもしれない、そう僕は感じられた。今、僕はこの作品を英語にすることを考えている。全部読み終わってもしこの感慨が残っていれば、ひょっとしたらするかもしれない。
狂気のデスゲームに放り込まれた時、人はどうするのか。この物語は、望みをかなえるという餌と、他者に殺されるという恐怖に挟まれた時の人間心理をよく描いています。主人公たちは「面白い死に方をした」という理由で管理者にこのゲームに参加させられ、『100の命のストック』とわずかな武器で殺し合いをさせられます。面白い死に方をした、ということもあり、この物語に登場するキャラクターは一癖も二癖もある魅力ある人物ばかりです。そのキャラクター同士が仲間と共に、このゲームからの脱出を懸命に行おうとする。そこに生まれる自分の欲望との葛藤に苦しむ心理描写に、注目してほしい物語です。
皆さんは小説家になろうというサイトには、『転生物』がとにかく溢れ帰っているのが事実だというのをご存知だと思います。この作品も、その転生物の一つとなっています。が、そこらのものとは一味異なり、かつ素晴らしいものに仕上がっています。新世代で上位レベルの転生物です。転生物といえばちょっとした理由で転生することが多いですが、まずこの作品では転生する場面が非常にドラマチックにできています。彼の父の人柄、そして亡き母の言葉を胸に、その転生のキッカケなる場面は皆さん必見です。そして、転生後。主人公はかなり冷遇された立場で、そして血生臭い雰囲気で描かれることが多いですが、そこから描かれる他のキャラとの関わりがとても繊細に描かれています。とにかくこれらを通して全体的に言えるのが、ファンタジー要素を残しながらも人間的な話が多く、とても読みやすいです。ファンタジー好き、それ以外の方でもおすすめです
まさしくタイトル通りの作品でした。何と言いますか、全体的に少々血生臭い匂いが漂っていますが、それぞれの登場人物の心情やバックストーリーが丁寧に描かれていますので、それが上手いことカタルシスに繋がります。またキャラや舞台の設定の作りこみも半端ないので、読み進めていくとあまりの出来の良さに圧倒されます。特に成長していくキャラたちが魅力的です。皆さんもどうか読んでみてください。
なろうで多く見られる『転生』。本作は、それを『景品』に奇妙な死を迎えた者達が互いに殺し合うデスゲーム。父への憧れと母の遺言を胸に、空へと想いを焦がす主人公「ソラ」が迎えた死。それが奇々怪々な『管理人』の目に留まり、彼もまたデスゲームへと巻き込まれていく、という独自性に溢れたスタート。何よりおすすめしたいのは、圧倒的不利な状況を知性による閃きとたゆまぬ努力によって覆していく爽快感。そこに至るまでの経緯、状況、描写によってもたらされる知略の説得力は必見です!また劇中に散りばめられた多くの謎や伏線、後半につれて更なる盛り上がりを見せる構成も読者を楽しませてくれるでしょう。特徴のはっきりとしたキャラクター、台詞回しなど見所も盛りだくさんなこの物語、なんと完結済みです!この夏休みの期間、是非とも勢いのままに読み進めてしまいたい作品、どうぞお手にとりください!