評価:★★★★☆ 4.2
携帯電話も普及していない平成初期のころ。大学受験のため浪人した麻子は、予備校の友人佐和子とともに、不思議な電車に乗る。それは時間鉄道だった。
過去や未来に行き、過去や未来の人々に出会える電車に乗り、受験で憂鬱な気分の麻子の気持ちも少し変わり始める。やがてやってくる受験。そうして大学生になった麻子に、佐和子から連絡が届く。
※受験に関する鬱展開がありますので、大学受験などで大変なかたは、閲覧を控えるなど注意してくださるようお願いいたします。
話数:全5話
ジャンル:現実世界恋愛
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:平成
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
その時代は平成の初期。大学受験に失敗し浪人したヒロインは、予備校の友人とともに不思議な電車に乗った。その電車とは……、時間鉄道。 時間鉄道に揺られ、過去や未来の駅に停車すると、その時々で過去や未来の人々に出会うことができた。 そのおかげか、憂鬱な気分でいたヒロインの気持ちも、少しずつ変わり始める。 予備校時代は、経歴に書くことのできない闇の歴史なのだそう……。 だからといって、切り捨てて、塗りつぶす必要はないと思うのだ。その時、その場所で出逢った人が、どこでどう未来へと繋がるのかは、貴方の選択次第なのだから……。 身につまされる読者さまもいるのではないかな……? 有意義な現実逃避先として読んでもおもしろい。貴方の選択肢がひとつ増える、素敵な可能性を提案してくれる物語だと、わたしは思うのだ……。
女流作家のアンソロジー本の中の一編のように、口当たりがよく読みやすい小説です。 ご本人は鬱展開ありかも? と警告を出されているようですが、さてどうでしょうか。印象としては、未来を思い描くには材料が足りない年頃で立場(19歳予備校生)の女の子二人の、「今と未来」であり、そこには漠然とした不安はあるものの決して暗さや辛さが前面に出て来る内容ではありません。 「時間鉄道」この言葉から多くの人が連想するように、銀河鉄道の系譜に連なる物語のような仄かな不思議さが全編に漂っています。この電車、途中下車して大丈夫……? と読者さんが気になる部分もきちんと回収されています(笑 今まさにその年頃の方、もしくはふっとその頃のことを思い出しても良い方。勉強の合間に、或いは長編を読み終えた後少し時間があれば寝る前に。もしくは通勤通学の際の電車内で。一読してみてはいかがでしょうか。