評価:★★★★☆ 4
『絶望捜査官』。
それは絶望の淵に突き落とされた人間を殺すことを公式に認められた政府の刺客。
希望あふれる世界、絶望のない世界を作るために、白昼堂々取り返しのつかなくなった人間を殺す。
その絶望捜査官の一人である天満ヤヨイはある日、家を出て失踪したはずの実の姉・クレハに出会う。クレハは底知れぬ闇を抱えていながらも、生きる気力を持っていた。クレハはヤヨイに協力を持ちかけ、歪んだこの制度の破壊へ向けて動き出す。その先で二人を待つものは新たな希望か、さらなる絶望か。
話数:全22話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
「絶望捜査官」──。その職業を他で目にすることはない。絶望を抱いた人間を抹殺することで、街と市民の「希望」を維持している世界。名家の跡取りを嘱望される少女・天満ヤヨイは、対象者の抹殺を行う「絶望捜査官」として、新米ながら任務を忠実に遂行していた。ところが冒頭、謎の人物がヤヨイの前に立ちはだかり、絶望捜査官の存在意義に疑いを突きつける。ヤヨイを圧倒する実力を持つ彼女は、生き別れたはずのヤヨイの姉で──?……不穏分子を排除すれば、世界は平穏に保たれる。安直な理屈ですが、いつの時代も人々はその理屈にすがってきました。この物語は、いわば少し先の未来を舞台に蘇った現代の魔女狩りを描く、ダークファンタジーなのです。見どころは精緻に書き込まれた主人公の心情。既存の正義が揺らぎ、混乱しながら職務に当たり続けるヤヨイの葛藤を、作者は少ない字数で見事に描き切っています。必読の一作です!