悪魔の王のお嫁様

異世界へと転生した主人公の女性、カナエは、魔王と呼ばれ恐れられるジラルダークという男性に、わけも分からないまま娶られて、そこからただひたすらに甘々に愛され……るだけかと思ったら、そこには壮大な世界と、深みのある登場人物たちが織り成す物語が広がっていました。愛すること、愛されること。生きていくこと、死んでいくもの。人の上に立つこと。乗り越えてきた過去のある者、乗り越えなければいけない過去に、今に、足掻く者。その先にある幸せを掴む姿が、主人公だけでなくその周囲の者たちの目を通して、幾重にも重なるように展開していきます。読んでいて幾度となく、自分にも問いかけられるような気分がしました。先日完結となりました。文章も読みやすく、時にクスリと笑えるユーモアもあってテンポ良く読み進められます。ただ甘いだけじゃない、少々ビターな部分もある、読み応えのある作品です。

ざっくりと称しますと、溺愛系の王道をいくスパダリ魔王様と、イケメン魔王様に拉致監禁されても動じないお嫁様の恋愛のお話です。とにかく、溺愛パートは砂糖が吐けるほどに甘い！でも、その後に続く世界設定のお話やお嫁様を取り巻く環境の話は目が離せないほどに濃くて重い！この温度差が癖になる、そんな溺愛物語です。つい最近完結されましたが、まだまだお話の続きが読みたいと思うほどにキャラクターも魅力的です。甘い物語をお求めの方はぜひ、読んでみてください！

物語の最初は、悪魔の王様に翻弄されつつ、たっぷり甘く愛されるお話が続きます。けれど、物語が進むうちに悪魔の王様が何故その地位にいるのか、どうしてこの国はできたのか、ヒロインを取り巻く環境について深く掘り下げられていきます。甘い甘すぎる！と思っていたらその甘さが恋しくなるほどに悲しいお話があったり、その悲しさを払拭するくらい甘いお話があったりと飽きません。また、ヒロインのカナエちゃんは前向きで親しみやすく、お相手である悪魔の王様も、時にかっこよく、時に可愛らしく、大体が色っぽい方です。読んでいるうちに止まらなくなる、早く物語の先が知りたくなる、そんな中毒性のある作品です。日に二回更新している作品なので、待ち時間が少なめなのもオススメです。

タイトル通りに悪魔の王様に嫁ぐ（拉致）ところから始まります。最初の頃は状況説明からの魔王様とカナエさん二人のイチャイチャっぷりがたっぷり楽しめます。が、よくある溺愛されてそれで終わり！と言う物ではなく段々と魔王様達の過去、「ニンゲン」達との対立と迫害のかなり重めの話が始まります。一体どっちが悪魔でどっちがニンゲンなんだろう？ニンゲンって何故こんなにも残虐な事をするの？と時には涙ぐむ展開もありました。当初は溺愛っぷりにアワアワしてたカナエさんも、過去をしり「魔王の后」たらんと回りを巻き込みながら健気に、それでいて力強く魔王の隣に居続ける姿は本当に感動します。考え方も行動指針も一切変わらないけど、一番成長してるのはカナエさんかなと思いました。残虐なシーンもあり単純な恋物語を期待してる人にはキツいところも見受けられますが、イチャイチャとのバランスがよく非常におすすめの作品です！