評価:★★★★☆ 4.1
クラス転移に巻き込まれた通山真は『契約』のスキルを得る。
スキルを得たことにいち早く気が付いた真は、クラスメイト達を勇者として召喚した国――フラーウス王国がよからぬことを考えていた場合に備えて、国王と契約を結びクラスメイトの安全を確保した。
しかし真のスキルを知らないクラスメイト達から勝手なことをしたと反感を買い、いじめが始まってしまう。日々激しさを増すいじめに限界が来た真は、自分が死ぬことで契約が切れ、クラスメイト達が堕ちていくことを復讐にしようと決意する。
フラーウスの策略もあり、冤罪をかけられクラスメイトに刺された真は、死の直前フラーウス王国が善良な国ではないことを確信して満足してその一生を終えた。死後、神の拾われた真はこの世界が遠からず崩壊することを知る。
世界崩壊を防ぐべく……ということはなく、世界が崩壊する前に人に捕らわれた精霊たちを助け出してほしいと依頼された真は亜神フィーニスとして再び世界に降り立った。誰にも負けない力を手に入れたフィーニスは終末の世界を巡りながら、自身の復讐の結末、そして世界そのものの終わりを見届ける。
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この作品の読み方。
1.プロローグを読みます
2.どうしてこうなったのか気になる人は、6話まで読みます
3.今後主人公がどうなるのか気になる人はさらに続けて読みます
4.途中で面白くない、興味を惹かれないと思ったら、トップページに戻ってお気に入りの作品を探します
特殊.ダーク成分が苦手な人は7話以降から読みます
注意:閑話はシリアスになりやすい傾向があります。――――
第1回スターダストノベル大賞にて【優秀賞】を頂きました。
kindleにて電子書籍化の予定です。
話数:全187話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
序盤こそ多少のテンポの悪さがあったものの、そこを除けば非常に綺麗にまとまった作品だと思います。まず第一に、世界観の設定がしっかりしており、ツッコミを入れたくなる要素が少なかった印象です。特にほぼ全ての設定が論理の飛躍を起こすことなく世界の根本設定に起因しており、非常に読みやすく感じました。次に、この作品は所謂TS作品になるのですが、どちらかというと人間から神へと存在が変化したことの方が大きな要素になっていると感じました。人間だった主人公の心がだんだんと人ならざるモノへと変質していく描写など非常に丁寧にかつ自然に描かれており、特に次第に人に無関心になっていく様は色々と考えさせられるものがありました。また、このような異世界無双系にありがちな俺TUEEE要素も少なくストレスフリーに読めました。総評ですが、作品の終わり方も綺麗で、総じて収まるところに収まった作品であったと思います。
主人公はまさに最強ですが、神になった代償で考え方も神になってしまいます。おかげで徐々に、ゆっくりと、けれども確実に崩壊していく世界をただ見つめて行く。それに関して、何も感想を抱かない。そこら辺にある蟻の一生を見る様に、人間に、世界に関して一切の興味を失ってしまった主人公の、殆ど誰も報われない、そもそも幸せとは何かという次元のお話です。よくある俺tueeeをお求めの方はお勧めしません。異世界を神の視点から、ただただ哀れだと思いたい方のみお勧めする作品です。
ただし序章部分は上記にあてはまりません。この作品は、登場人物の生というものをある意味では生々しいくらいのものを見ることができます。というのも、ストーリー展開ありきで登場人物が動かされ人間味を感じられないような作品が多い中、この作品は個人の感情が行動になり、そして物語となっています。主人公が傍観者であり、また俯瞰できるような立場であることも大きく影響していると思います。個人的にはこの作品は、「読む」と言うより「見届ける」と言った方がしっくりきます。完結まで見届けさせていただきましたが、今まで感じたことのない読後感、不思議な充足感を得られました。最後になりますが、完結を受け思わずレビューを…としたところ、大変ふわっとしたものになってしまい自分の表現力のなさに痛恨の思いではありますが、少しでも多くの方にこの作品に触れてもらい、この感覚を共有することができたらと思わずにいられません。
これは全てが終わってしまった物語。世界は滅びの黄昏にあり、救われない。主人公は救おうとした者に裏切られ殺害される。神もまた、全てを諦め、全てを見捨てた。異世界クラス転移で召喚され勇者の一人となった主人公。咄嗟の判断でクラスメイトを救うが、策略にはまり、皮肉にも救ったクラスメイト達に殺されてしまうのだった。さよなら残念。THEEND・・・では物語にならない。つまらない!さっさと『自分の死』を受け入れていた主人公を神様が呼び寄せ、一つのミッションを託します。世界各地に封じられている『精霊』を救え!と。かくて、異世界転移からの転生を果たし、神様のパシリとなった主人公の物語が今始まる!世界を守らず、人も基本救わない主人公の渇いたユーモアが漂う終末物語。是非、ご一読を。
主人公の真の味方もない状況での孤軍奮闘から、悲しい結末までがプロローグとなってます。 同級生の主人公に対しての行為に憤り、不穏な空気を匂わせる王国に慄き、挙げ句皆をを守り抜こうとした真をいじめ抜き、最終的には殺害に至る。 序盤はこの愚かな同級生たちのザマァ展開をひたすら祈るお話になっていると思います。 しかし、この物語の面白いところは、そんな重い滑り出しに反して、割と転生した主人公が第二の人生をゆるく謳歌している所にあると思います。 復讐心を持っていない訳では無いが、それなりに異世界を堪能しつつ任務につく様は、あれほど重い出だしだった物語と同じストーリーとは思えないほど。w しかし、完全に緩いだけでなく、その後のクラスメイト達の悲惨な末路(?)もしっかり閑話で描いて下さっているので、ザマァ!!ってやりたい人にも、重い話は苦手という人にもおすすめできる逸品でございます。