評価:★★★★☆ 3.8
時は二千五十年。舞台は神戸沖の人工島、いざなみ県、いざなみ市。
自衛軍に入って数年が経過しての退役後、中南米でゲリラに参加したのは今となっては昔の話。それがミユキ・ハジメの略歴だ。自己を主張したかった。自らの美学を貫きたかった……、なんていうのは言わば後付けの理由であって、実のところ、狙撃手という立場で仕事ができることで調子に乗っていたのだろうと彼自身は思っている。
そんなふうに彼には確固たる信念がない。だからそう。張り詰めていた気持ちだって簡単に破綻する。つまるところ、突然、ニッポンが恋しくなったのだ。情けない限りである。
帰国後、まったく給料が得られなくなって職探しをしている折に『治安会』こと『治安調査会議』なる組織のボス、後藤と出会う。「ウチに来なよ」と勧誘される。必要とされたことが嬉しくて、彼はその誘いに快く応じたのだった。
※2020年3月13日、加筆、修正しました。ご了承ください。
話数:全23話
ジャンル:サスペンス
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:R15
「治安会」の新入り、かの銭形幸一警部と何らかの繋がりを持っていそうと判断される(嘘)、スナイプのスペシャリスト、幸(ミユキ)一(ハジメ)……は、 ……割と華奢なメンタルを持ったニンゲンであるー 狙撃の腕は確かなれど、他の同僚:伊織や朔夜のようなタフでマッシブな考え方には躊躇し、煩悶し、悠のようなマシンのような考えにも驚愕する。 ヒトのぬくもりを求めつつも、拒絶されることに慣れてもいない。 スタンダローンになりきれないのに、一方で孤独を感じさせる、そんな生き方。 そんな彼は、今日も葛藤や苦悩をその軽薄な仮面に押し込めるかのように、どもりながらも饒舌に振る舞うのだベイベ。 いつの間にか側にいる仲間たちと、狂騒的なアンサンブルを奏でながら。
突飛たるスナイピング能力を引っ提げ、孤高の狩人は今日も凹む……。 彼は善悪の是非を超え、采配の踵にトリガーの行方を委ねる。孤独、臆病、非力、焦燥、そして信頼……彼を彼たらしめる要因は実に複雑で実に単純明快。それは彼だけでなく彼等彼女等全てに当てはまるのかも知れない。 しかしそれでも彼等彼女等は微塵も狂うこと無く歩み続ける。当然その中には彼も居る。彼の持つ引き金だけがその全てを知っている……