お父さんがゆく異世界旅物語

主人公は”子持ちのお父さん”とWEB小説の中で珍しい部類にあります。何故か転移されてしまった先で、お母さんを探して、旅をするストーリーです。秀逸した文章力で描かれており、詩的で遊び心さえある綺麗な表現が、本物語への目を縫い付けさせます。子供心を刺激され、思わず応援したくなるくらいに冒険をします。家族愛で満ちた場面に、感慨深く、余韻に浸ること間違いありません。老若男女問わず読めます。作者に感謝さえ覚える。そんな作品です。

主人公は、普通のお父さん。親バカで嫁さんに未だにベタ惚れで魔法も剣も使えない。行方不明の嫁さんを探して、子供を連れて旅をする。そんな話のどこが面白いんだ？それが面白いんですよ！！作中の異世界は、大自然に囲まれた厳しい土地です。そして『ちょっとだけ、地球より楽しそう』。『危険だけど、なんとかなりそうなレベルだな』『獣の耳と尻尾を持つ人々？ 良いなー！』『キャラバンの旅？ 幌馬車？』『えー、ソレ食べてみたい』『毛玉ウサギ？ まん丸？』『トカゲに乗るの？ 楽しそう！』『砂漠の旅？ ロマンあるな！』『民族衣装、可愛いな！』いつのまにか、知り合いのような気がしている主人公が色々苦労して頑張っている。気がつけば、応援しているんですよ。ダメ！ 逃げろ！ わかるけど、頑張れよ！ ああ、元気出せ！ 大丈夫、次はきっと会えるさ。息子の成長にも、胸が熱くなりますよ！

お母さんを探してケモ耳の異世界を旅する、お父さんと８才の男の子(最後の旅は３才の娘も一緒)の成長物語です。ほのぼの、ほっこり、のんびり、わくわく、応援しながら読みました。時々入るお母さんサイドの様子に、早く会えると良いなと、更に応援したくなりました。登場人物がとても魅力的です。主要人物はもちろん、渡し船の船頭、山岳部族の族長、本屋のご主人。ちょっとしたやり取りに人間味が溢れています。作者様曰く『情緒と人情の旅物語』だそうです。なるほどと思いました。印象的だったのは風の描写です。山から吹き下ろし力強く駆け抜ける風、お帰りと呼ぶようにポンチョを揺らす風、幌馬車の幌を鳴らす向かい風、雨を呼ぶ不穏な風。実に多彩にその場面を盛り上げます。あなたも、異世界の風と人情に触れてみませんか？※本レビューにて、本文やあらすじを引用しています。掟やぶりだったら申し訳ありません。

完結済み小説が掲載されているところで、今日、たまたま、偶然見つけたお話です。これが面白いのなんの、一気読みしてしまいましたよ！チートも何もない日本のごく平凡なお父さんが、息子と娘を連れて、母を訪ねて三千里するお話です。芸は身を助けるということも感じます。登場人物が魅力的なんですよ。そして描かれている異世界が、美しく厳しい。たいていの作家がめんどくさがる異世界語の習得にも果敢に挑戦しています。そして獣人が好きな人は、垂涎ものかもしれません。子育てお父さん視点や旅のあれこれが、とっても素敵なお話です。ぜひ読んでみてくださいな！！

――もしあなたがごく普通のお父さんで。休日に家族で出かけた先、いきなり「異世界転移」に巻き込まれたら。そのとき最愛の妻とはぐれたら。子供２人抱えて、見知らぬ土地に取り残されたら。どうしますか？言葉も通じないし、異世界人は皆ケモ耳が生えている？人間と同じ『耳なし』は伝説上の存在？場所によっては「災厄」の象徴？正体がわかれば命が危ない……！？更には携帯が一瞬、復活しちゃったりなんかして。お母さん今どこ、え？「教会」にお世話になってるみたいだけど、言葉通じなくてよくわからないー！？もうすぐ３歳の娘と小学２年生の息子を連れ、家族がまたひとつになる為の冒険が始まる。特殊なスキルも武器もない、チートも膂力も何もない。ごく普通の日本人が子連れでまわる「異世界」の旅。立ち上がれお父さん！この広く美しい、大自然でいっぱいの世界から……お母さんを探し出せ！