評価:★★★★☆ 4.1
とにあさまより、いただいたお題。
「かんざし」はるか東の大国から親和の証に砂漠のオアシスへと輿入れしたのは、容姿のすぐれない16歳の少女だった。
しかし、彼女は類まれなる歌声を秘めていた。高音を保つために去勢されたウード弾きと、後宮で孤立した姫は歌を通じて心を通わせ始める。
カクヨム・エブリスタ・pixiv・ノベルアップ+でも公開中
話数:全27話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:残酷な描写あり
砂漠のオアシス。誰もが通り、あらゆる物が集まる楽園。何でも買える。酒も女も、そして歌も。大国から小国へと嫁いだ……下賜された不器量な姫。小国の王の心中はいかなるものか。誰も姫の価値には気付かない。ただ一人、作られた美声を持つ楽士を除いて。年老いた楽士。琵琶に似た楽器を爪弾き昔語り。砂漠のオアシスを巡る大国と小国の攻防譚。そこに翻弄される姫と楽士の足掻く様を……
楽師が歌う、問わず語り。楽師が見せる、泡沫の夢。それに溺れる客たちは、それでも確かに幸せだろう。それはきっと正しき幻なのだから。去勢された楽師が、オアシスに輿入れした無口な王女に会った時、歌は物語は始まる。静かに紡がれるそれは、確かな絹織物。沢山の物を幻視した。沢山の歌を聴いた。それも砂漠の砂塵が静かに消していった。それでも歌は耳に確かに残っている。きっとそんな余韻のある、静かで激しくて、深い物語が、ここに。