評価:★★★★☆ 3.9
日本バンタム級タイトルマッチの最中、挑戦者である本田史郎は突然キャンバスへと沈んだ。
相手のパンチを受けたわけでもないのに突如倒れ込み昏倒してしまった本田は、救急病院に運び込まれるもそのまま帰らぬ人となった。
死因は脳出血であった。
しかし、本田は自分が死んだことも知らずに目覚めた。
ダウンをしたのだと勘違いしていた本田は起き上がると、まだ戦えるとファイティングポーズを取るのだが、目の前にいる対戦相手がチャンピオンではないことに気が付くのであった。
よくわからないが、どうやらロイムと言う少年に生まれ変わったことを知った本田は、自分がこの世界では奴隷拳闘士と言う身分であり、定期的に開かれる拳闘大会で勝ち続けなければ生きていくことができないことを知る。
しかし、この世界の拳闘は現代ボクシングと比べると非常に技術の拙いものであり、ただ単に拳を振り回して殴りあうだけの物であった。
これならば体格が小さく不利と言われている自分でも、これまで培ってきた経験と知識を駆使すれば勝ち抜くことが出来ると、本田はこの世界でチャンピオンになるべく特訓を始めるのであった。これは、ロイムと言う少年に転生したプロボクサー本田史郎が、奴隷拳闘士として異世界で成り上がって行く物語である。
話数:全83話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:R15
プロボクサー本田史郎は、試合中の怪我が原因でしんでしまい、異世界へ転生する。しかしよくあるチートものでも、貴族への転生ではなく、「奴隷」だった。そしてよくある奴隷とも違う。拳闘士という、拳で戦う事を強いられた立場だった。ロイムと名前を変え新たな人生を、前世で培ったボクサーの経験を活かし、拳闘士として頭角を現していく主人公。不思議な事に、ロイム同様、前世の記憶を持った、しかもボクサー経験がある人物までも登場し、ロイムは前世同様、ボクサーとしての力を蓄えていく。よくある異世界成り上がりとは違った、奴隷ボクサーという背景の、一風変わった物語。文章力も高くとても読みやすい作品です。様々な美女との恋物語も散りばめられていて、飽きが来ず楽しめると思います。お薦めです。
してません。いやザコ相手にはしますけど、強敵がとにかくでかすぎる。とりあえず今一気に読ませていただいて、いやぁ……とうなることしきり。堪能しました。この物語のスタートがあまりにも温室なのは、作品自体が語っていたこと。しかしながら、ここから先で、いよいよそのテーマの本質が見えてくるのだろう、と感じました。拳闘とは殺し合い。それを否定するためには、実際の殺し合いと向き合わねばならない。読んだ順番としては、ふとした出会いで最新話を読み、気になって一話から飛んで、あとはノンストップ、という感じでした。多すぎず、少なすぎないボクシング知識。やや多くならざるを得ないときに、なんだか申し訳なさそうに登壇される作者氏w 物語のための知識、を徹底されているところ、すごいな、と思いました。あぁ、追いたい話がまた一つできてしまった(笑顔)!
平成から令和へ元号が変わる昨今。スポーツにおける指導も大きな変化を遂げました。SNSによって誰もがメディアとなりえるため、過度な『しつけ』はパワハラとみなされ、『鬼』と畏れられた指導者たちが世論の目に戦々恐々とする時代です。そんな中において、「スポ根」もすたれつつあります。そのよしあしをここで問うつもりはありません。しかし私は「スポ根」をとても愛しております。なぜなら「濃厚な人間くささ」が描かれているからです。本作は異世界を舞台にした『ザ・スポ根』小説。厳しい練習、苦楽をともにする仲間たち、そして淡い恋に胸が熱くなります。一見するとノスタルジックにも思える正統派のドラマですが、舞台が異世界のためライトな感覚で読めるのも一つの魅力でしょう。多くの方に是非読んでいただきたい。そして主人公のロイムの激闘を一緒に闘技場で観戦しようではありませんか!
「科学という意味のサイエンスという言葉には、ボクシングの技術という意味があるそうです」これは、本作ではなく百田尚樹先生のボクシング小説「ボックス!」の一文ですが。ボクシングはただの殴り合いなどではなく、科学的な要素が詰まったスポーツなのです。そんな高度に進化した現代ボクシングのプロボクサー。 本田史郎は気付くと拳奴の少年ロイムとして生まれ変わっていた。生まれ変わった彼は、現代ボクシングの技術を駆使して、拳闘世界をのし上がっていく。出会っていく友、ライバル。そして拳奴の過酷な世界。その中で彼はボクシング技術を伝え、文字通り「未開の拳闘世界」を「高度なボクシング世界」へと変えていく。熱い人間模様がすっきりと読みやすく描写され、また如何にボクシングというものが凄いものかが伝わってくる。そんな、面白い小説です。
大男と相対する少年、それはもう「ダビデとゴリアテ」に代表されるように古代から愛されてきたテーマだ。 本作の主人公は「将来は世界チャンピオンか!」と嘱望されていたほど才能に満ちあふれたボクサーだったが、なんと道半ばにして斃れてしまう。 目覚めたらそこは拳闘士奴隷の養成所!? まだ十をようやく越えたくらいの少年の体で目覚めた本田は、奴隷の少年ロイムとして生きていくことになる。体は小さくたって、ボクサーとして過ごしてきた日々の記憶や勘は衰えない! 大会に出て成り上がっていくだろう彼の活躍、苦悩、成長……何もかもに期待が高まる。筆力にはすでに定評のある作者、あぼのん氏の新作、ワクワクが止まりません! どうか一緒に楽しんでいただきたい!