評価:★★★★☆ 4.3
「どうか聞いてください。今年、西方より大いなる災いがこの国を襲います」
平和を謳歌する王国に王女アルフィーナの不吉な予言が告げられる。だが、反逆者の血筋を疎まれる姫の言葉は無視される。
経済学部院生から行商人の子に転生した主人公リカルドは身分社会で大商人の妨害に苦戦。情報を求めて入った学院でも早々に反感を買っていた。
そんなリカルドを庇ったのはアルフィーナだった。「王女なんてボラティリティーの高い人間には近づかない」と保身に走ろうとするリカルド。だが「策士を気取ってる割にチョロい」と幼馴染に嘆かれる彼は、姫の予言に巻き込まれていく。
「もっともらしさは問題じゃない。仮説の成否を検証できるデータをどう取るかが重要だ」
災厄の本体ではなく被害後しか映さない予言に対し、リカルドは現代知識の概念を魔力災害に応用することで解明していく。
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2017/10/08:全11章(約98万字)で本編完結しました。
2018/01/06:後日談完結しました。
2018/11/04:後日談Ⅱ『水色の商品開発』完結しました。
2019/04/05:後日談Ⅲ『特別なご褒美』完結しました。2018/11/05:おかげさまで講談社レジェンドノベルスより書籍化です。
2019/04/05:2巻発売となりました。よろしくお願いします。この小説はセルバンテス様にも投稿しています。
© 2016 のらふくろう
話数:全280話
ジャンル:ラブコメ
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
魔力や魔獣の存在する世界の、零細商家の息子に転生した主人公。彼の住む王国は、ここしばらく戦争もなく平穏な時代を謳歌していた。現代知識のある彼からすると、柵があったり自由度が低く、悩みが絶えなかったようですけど。コミュ障を自称する彼は、身分関係なく通える学院でも、敵を作ってしまっていましたし。そんな中で、災厄を予言した姫君との縁ができて。断片情報から、予言を予測に組み替えていくことに。前世の記憶があったとして、一足飛びに結果を出せるわけではありませんが。異なる世界でも、積み重ねてきた歴史は、先を照らす導となっています。保身を旨としている割には甘いですけど、その甘さがクセになる作品。
とても面白いです。「世界に第五の力、魔力があるとして」を本気で考えて、あくまで物理的に存在する物質として考え抜かれてます。読んだ感想としては物理5、生物3、化学2くらいの構成だと思います。惜しむらくは、小説として洗練されている事です。登場人物たちの紹介、困難、試行錯誤、解決、と各パートの文量まで完璧だと思います。だからこそ、魅力的な登場人物達の不必要なストーリーがスプライシングされているように感じました(笑)それを求めるのはワガママだとは分かっていても、読みたいと思ってしまいます。この物語は完成されているのでしょう。なので私が彼等の物語を覗く事はもうないのでしょう。それがとても惜しいと思える程、面白いです。オススメです。ただ、私を含め理屈っぽい人や物語にも理論を求める人は、しばらく他の小説が読めなくなります。そこは覚悟の上でお読みください。
軽妙な語り口とドライな主人公が好印象で、寝る前の清涼剤感覚で読み始めました。ですが、物語が進んでいくにつれチョロくて暴走気味な面が露わになってくる主人公、彼の周りに増える美少女。あれ?と思いながらも夢中で読み進めてしまえるのは、しっかり地に足をつけた魅力(説得力と言えるかもしれません)を全てのキャラクターが持っているからだと思います。味方陣営も敵陣営も、大物も小物もその立ち位置に立つべくして立っている、気持ちのいい生々しさがありました。そして何より、キャラクターと同じく説得力たっぷりの世界観!研究パートに入るたび、高校化学の範囲すらさっぱりな自分は別タブのWikipediaに貼りつきながら一生懸命追いすがりましたが、それくらい時間をかけて読み進める価値のある丁寧に描かれた作品だと思います。新作はSFテイストということなので、しっかりと予習してこれからも追いかけていきたいです!
魔法のある世界というのをしっかりとした現代知識で設定され、読者にも分かりやすく伝えてくれてる良作だと思います。ただ、間に挟み込まれた主人公スキーな女性陣がノイズやバグのように感じました。メインヒロインがいて、主人公は女性の色香に惑わされることはあっても一筋。ラブコメとしてライバルとなる女性陣がいるのも良いでしょう。ただ、主人公の意思を無視して周りの女が奪い合ってるような描写は正直気分が悪い。本命がいるのに恋愛感情のない異性からしつこく好意をぶつけられるのは、普通に考えたら気持ち悪くないかなぁ、と思ってしまう。本命がいなけりゃ嬉しいのかも知れませんけど。せっかくストーリーも設定も面白かったのに、そのせいで読後感が悪かったのが残念です。タグ付けするほどではないかも知れませんが、あらすじにでも「多少のハーレム要素があります」と書いてて欲しかったです。
一貫して主人公が頭を悩ませながらぱぱっと問題を解決していくのは読んでいて気持ちいいし、変な落とし穴や弛みもなくて安心してテンポよく読めます。現代知識での原理説明を既に知っていれば少しくどいぐらい?緩急を付けながら読者の頭を奇襲で殴る作品もいいが、平坦で軽やかに読み進めるのもいい。最後はちゃんと盛り上がりましたし。私は黒幕系策士主人公が好きで、商業の話も好きです。キャラクター達の感情描写も少ない文字数でかなりうまく読者に伝えていると思います。恋愛関係の話は途中ちょっと焦ったけど長引かずにうまく処理してよかった。
傑作だ。読んでいて衝撃を受けた。なろうの小説を読み漁り、異世界ものや中途半端な物語設定に飽き飽きしていたため、尚更刺さった。作者の大学時代(或いは現役かもしれないが)の経験も上手く生きていて、行動経済学を学んでいる身としてとても楽しめた。恩師の言葉や昼飯を抜く親友の話なども作者を感じられて良かった。幅広い知識を扱っているため疎い分野の人間にとっては少し取っ付き難い部分もあるかもしれない。だが、理解できずともストーリーは楽しめるし、理解できてもまた面白い。ご都合主義はあるが、他のなんちゃって科学よりは遙かに説得力もある。経済という単語に抵抗のある人も気にせず読んで貰いたい。参考文献を読むのも面白い。自分も読んだことのある本からこの様な物語を創り出せるのは一つの才能だと思う。読んだことを決して後悔させない、名作だ。この様な物語を作ってくれた作者に感謝したい。
文章力、伏線や展開、設定や知識の使い方、登場人物の魅力。どれをとっても非常に完成度の高い名作。成り上がりや現代知識チートもあるが、雰囲気は怪獣映画が近いだろうか。とにかく知識の応用が上手く、他とは一線を画する面白さだ。主人公は元経済学部の学生であり、数や経済などの普遍的な知識と概念を武器とする。技術を持つのは他の学者や職人であり、1人ではなにもできずチームを組んで挑む。日本と同じ事をせず、概念を『魔力学』と組み合わせ、工作精度の問題は『錬金術』を利用する。そして失敗も試行錯誤もするのである。物理や生物の話もあるが、説明もわかりやすいので敬遠するのは勿体無い。戦闘での無双、魅力的な登場人物達、空気にならずちゃんと恋愛するメインヒロイン。災厄の予言を軸として、広がっていく仲間達や世界観と、終わりに向けて収束する伏線の数々。とにかく完成度が高い。まずは読んで欲しい。読めば分かる。
タイトル通り経済学を盛り込んである小説世界は経済で回ってる訳だから、こういうことを知ってると徳をする世の中はお金ってシステムで回ってて、システムを使う人がなりあがっていくそのシステム・知識を異世界で存分に発揮する主人公の物語なかなかによくできた小説です比較的、話に無理矢理感満載の俺つええ系が多いなろう小説の中で、理論だってるものはめずらしいのではないでしょうか大変楽しく寝る間も惜しんでハマってしまいました。
ここまでハマった作品は本当に何年か振りです。読み始めた時は既に最終章で、ほぼ一気読みできたのはある意味幸せでした。その感謝と、ほとんど評価出来ず仕舞いだった代わりにレビューした次第です。いわゆる内政チートものですが、内政ものは、扱う題材とアプローチ次第で抜群に面白くなる、という典型的な作品。個々のエピソードは非常に分かりやすい問題提起と伏線張り。謎解きと伏線回収。その繰り返しで話が進む訳ですが、個々の伏線がその場限りのガジェットに終わらず、大きな流れの中でちゃんと活かされて、広げた風呂敷をしっかり畳んで大団円を迎える。誰かが書いていましたが、お金を取れる作品です。例えが正しいかは分かりませんが、読んでいる間は弓月光氏の「甘い生活」が、読後は長谷川裕一氏の「マップス」がちょっと頭に浮かびました。内政好きなら迷わず。そうでない人も是非。読んで頂きたい作品です。
頭の悪そうなレビュータイトルで申し訳ありませんが、私の貧弱な語彙とセンスだと自身の興奮を伝えるためにはこのような結果にせざるおえませんでしたのでご了承ください。 私はレビューを書くのは苦手なのですが書かずにはいられない作品でしたので書いた次第です。 私がこの作品を読むきっかけになったのは“なろうおすすめ作品”という作品からなのですが、当初タイトルで難しそうだと読むのを後回しにしてしまいました。それでこの時期に読み終わった次第です。 しかしながら私の判断は間違っていました。読んでみれば読みやすく、しっかり作りこまれているために引き込まれてあっという間に読み終わってしまいました。 私はタイトルで読むのを後回しにしてしまったわけですが、読み終わればこのタイトルこそベストなんだとよくわかりました。ぜひ一度読んでみてくださいまし。