評価:★★★★☆ 4.2
(本編完結済み。完結表示にしていますが、随時外伝を更新します)
主人公は子爵令嬢にも関わらず、軍人として働く変わり者の堅物女子。すでに二十も半ばを過ぎ、立派な行き遅れである。見合いに望んだものの、お相手には軍人であることを理由に振られてしまった。その上、軍部でもまた自分の意思に反して配置換えを命じられてしまう。一体自分が頑張ってきたことは何だったのかと途方にくれる主人公。
そんなある日彼女は行きつけの酒場で、美しい歌うたいに出会う。初めての恋に心が浮き立つのもつかの間、男の気持ちは恋愛初心者の彼女にはまったくわからなくて……。しかし、とある事件をきっかけに二人の距離は一気に縮まることになる。
これは自分に自信のない女と、訳あり男が幸せを掴むまでのお話。
この作品は、オフィーリア国を舞台としております。
同じ世界観の作品はこちら。
あっきコタロウ様
『そしてふたりでワルツを』
(革命の詳細や、ヘルトゥのその他の活躍はこちらから)サク様
『黄塵(仮)』※この作品はアルファポリスにも投稿しております。
話数:全29話
ジャンル:仕事もの
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:じれじれ
展開:未登録
注意:全年齢対象
すこーし気持ちの疲れているときに。 婚約破棄からはじまる物語は、端正な文章ながらも小難しくなくて、ふわっとその世界に入っていける仕掛けが用意されているから大丈夫。 ほろ苦い経験、甘いお菓子、スマートすぎる美青年とのめくるめく優しい時間……と、癒し系みたいな文字列を並べてみましたが。 ヒロインは武闘派だし、お相手は陰のある遊び人だし、番外編にはムーンライトへのお誘いありと決してお上品なだけのお話ではないことに驚かされます。 だけど絶対に裏切らない極上のハッピーエンドが約束されているから、そこはなんの心配もありません。 今日は少し疲れたなという方にぜひ読んで頂きたい小説です。
婚約破棄。ありきたりな物語?そんなはずがない。婚約破棄しても女から恨まれない男がいた。婚約破棄されても相手を恨まない女もいる。絶対王政が崩壊し、共和制、民主制へと移り変わる激動の時代。そんな平和な時代において無用の長物と化した存在。それは……軍人、そして旧王族。互いに足りないものを補い合うかのように出会った二人。パズルのピースがピタリとはまるように、歯車が噛み合うように。甘さを持って動き出す物語。
吟遊詩人なんかに、まじめな軍人の子が惚れちゃダメーー!でも、吟遊詩人ヘルトゥはたしかにモテますが、やっぱり心のどこかが傷ついていて、そこはやっぱり本当の、彼が見せない部分なのです。女らしくないと、コンプレックスのあるエレナだけれど、そんな彼のとなりにいられるのは、きっと打算なんて頭の片隅にもないまっすぐな彼女だから。最後はもちろんハッピーエンドなのだけれど、贈り物が形だけの指輪みたいな、相手を縛るものではなくて、一番叶えたかった夢の鍵なのが、本当に自由で等身大で素敵です。最初はほろ苦、最後は激甘な恋のお話が読みた一番あなたに、ぜひおすすめです。
甘いだけではないという、そこが大変グッドな恋愛小説と感じました。 一話で婚約破棄を受ける主人公は、二十半ばを過ぎておりこの世界では立派な生き遅れ。また仕事上でも望まぬ転属届を頂戴してしまうという、踏んだり蹴ったりな状態で物語は始まります。 その傷心中の彼女を慰めるようにして登場するのが本作のヒーロー、ヘルトゥ氏なのですが、彼の職業は吟遊詩人。さて古来から歌唄いというのは、一種水商売にも近しい職業と相場が決まっております(日本の芸者には娼婦という一面があったように)。 ボロボロの状態で始まる主人公が、いかがわしい職業の男にかどわかされる物語として本作、恋物語としては少し苦い展開をしていくのですが……。 私はこの話、『ある人にとっての欠点は別の人には良点である』、という裏テーマが流れているように思いました。その裏テーマが、本作の読後感をとても良い物にしてくれているように思います。
女としての自信を失った元軍人のエレナが出会ったのは、なんとも綺麗でミステリアスな吟遊詩人。兎に角、男勝りなエレナの不器用なところがなんとも可愛い。きちんとした恋愛など知らないエレナと、浮世ばなれした歌うたい。足りないものを補い合い、背中を預け守り合う比翼連理のエンターテイメントラブロマンス。これを読んだらあなたは救われるだけのお姫様じゃいられない!本編は完結済みで、すぐにでも最高のフィナーレをお読みいただけます。
「いよっしゃー! 私ってば可愛くておしとやかでお金持ちでなんでもできてモテモテで最強だぜー!」なんて自信満々な女の子はなかなかいません。女の子だけじゃないな。男の子だってそんなに自信に溢れた人は少ないんじゃないでしょうか。誰だって、ちょっとしたコンプレックスを持っている。そのうえに恋なんてしちゃったら、もっともっと臆病になってしまう。しかも恋した相手は、そんな悩みなんてなさそうな、自信に溢れた素敵な人に見える……。もとからあまり自分に自信がなかったのに、見合い相手に「女らしくない」と振られて、さらに自信を失ってしまった主人公。そんな彼女が、恋をして。少しずつ自分自身の気持ちと向き合っていく、とっても甘いお話です。自身のコンプレックスって、他人から見れば全然気にならないことだったり、むしろ良いポイントだったりするんだよね。