評価:★★★★☆ 4
メロンスター社は、銀河全体に営業拠点をもつ大企業である。従業員数は三百億人を超え、時間旅行ツアーからアサガオの栽培、哲学者の派遣業から夏休みの宿題代行まで多岐に渡る事業を行っている。会社案内の事業内容ページがあまりに厚いため、撲殺事件の凶器として使われることが頻発したので、最新の会社案内では事業内容を「かなりたくさん」の一行ですますようになった。これによって年間百三十万本の木が救われることとなったが、大得意先をなくした製本業界は大不況に陥ったため、自殺者が大量発生した。これらの自殺者はどういうわけかきまって木に首をくくったので、首吊りを防ぐために年間一千三百万本の木が伐採されることとなった。
セン・ペルはこのメロンスター社のシュレッダーマネージャーとして働いている。主な内容は書類をシュレッダーにかけることなのだが、招いていない仕事が頻繁に舞い込むため、毎回生死の境をさまよう羽目になる。それでも今日もセンは出社し、仕事に勤しんでいる。[この作品はカクヨムにも掲載しています。]
話数:全43話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
その他要素
注意:全年齢対象
最初にこれを読んだとき、銀河ヒッチハイクガイドに凄くよく似てると思った。文章のセンスとか、話の展開とか、妙に理不尽で不条理なところとか、よく分からない単語がいっぱい出てくるところとか。もうこれこのまま出版しても売れるぐらい。一話がボリュームがあるので読み応えあるし、章ごとに話がきちんと纏っているので読みやすい。なろうでもオススメのSFは沢山あるけど、ちょっと感じが違ったSFを読んでみたい方にオススメ。そうじゃなくて、ひたすら面白いものを読みたい方にもオススメ。要は、全ての人にオススメしたい作品。
ポップミュージックでもポップアートでも世の「ポップ」なるものはご本人の「センス」がなければ理解されず、共感されず、成立しないので「ポップ」と呼ばれることはありません。そして作者の鶴見先生は絶対的な「センス」の持ち主です。ですから安心して読んでくださいそう、この小説こそ「ポップSF」だと思います。誰が読んでもわかりやすい(共感しやすい)どこかレトロで雑多な(良い意味でいいかげんな)世界観、思えば子どもの頃に藤○センセイのSFを読んだ時のようなちょっと小憎らしくも可愛いロボットたち。筒井御大のショートショートのような理不尽な宇宙人?たち。老若男女誰しもが楽しめる内容だと思います。1話あたりのボリュームもほどよく、可燃性コーヒーからすぐ自爆に走る低スペックロボTY-ROUまで爆発ネタも充実。そう、SFっていうのは「こんなんで(こんなのが)いいんだよ!」って大声で言いたくまりました。