評価:★★★★☆ 4.1
地の精霊が作ったと噂される世界屈指の巨大洞窟。その最奥を見た者は未だおらず、今なお洞窟は複雑に延び続けている。採掘される宝石を狙って命知らずの冒険者達が挑み続けるダンジョン。その実情は、たった一人の錬金術士と意地汚い精霊によって、やむにやまれぬ理由から作られていた。
(2019.4.30 書籍化)
話数:全163話
ジャンル:アドベンチャー
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
錬金術師クリストフは、金策と夢の実現のために精霊ジュエルとともに鉱山開発を始める。盗賊や盗掘者に対処するうちに巨大なダンジョンへと変貌してゆく。ダンジョン作りの背景がはっきりしているところがいい。そもそも主人公としては宝石採掘をしているつもりが、何処で誤解されたのかダンジョン認定され、盗掘者から守るために魔獣を配置したことでさらに噂が広まってしまう。そのかけ合いが面白い。前半のダンジョン部分でも後半の宝石の丘への旅でも、ぽんぽんキャラクターが死んでゆく。ある程度文量が割かれサブキャラも簡単に死んでゆく。物語終了時には主人公以外の主要キャラクターはほとんど退場してしまうほど、後味は悪い。そのせいか莫大な富と名声を手に入れ夢を叶えたにもかかわらず、クリストフの心が満たされることはなく……続編へつづいてゆく。
ジュエルと出会い宝石の丘へと到達することを強く求めるクレストフだが、秘境の地宝石の丘へとたどり着くのは容易なことではない宝石の丘へたどり着くには何が必要か食糧、旅の同行者たち、道案内、数多くのものが必要だろうそれらを用意して、宝石の丘へとたどり着いたとき、クレストフは何を失い、何が手に入ったのだろうか
この作品を読んでいて最後の最後まで胸くそが悪かった。「じゃあ、何故レビューを書いているのか?」そう思うなら最後まで読んでくれ。若干ネタバレ注意。基本的にキャラが死ぬ。老若男女例外なく。主役張れるぐらいキャラが濃い人物も死ぬ。ダークファンタジー過ぎる。チョコレートなら苦味しかない。読了後、正直気が滅入った。そんな作品をレビューした理由は中毒性があるからだ。ここまではボロクソに書いていたがキャラクターの豊かさ。濃さ。それに文章も素晴らしい。作品の続きがあるのを知って読んでみようと思った。まだ読んでないが。登場人物のその後の人生が気になった。それに作者自身がこう言っている。「時系列で言うと『ノームの終わりなき洞穴』の主人公の過去の話だ。」「この作品はスピンオフとして考えていたものだった。」それなら本編はどうなるのか、気になった。まあ、一度読んで欲しい。
権力も、財力も、知力もある。それでいて、人の事など鑑みない性格の主人公。自分の目的のためには、手段を選ばず遂行する。 ああ、これは一種のダークヒーローの姿なのかもしれない。そう思った時点から、一気に話を読み進めてしまう。 そして、主人公の、無慈悲な仕打ち、無遠慮な行動、冷酷な判断、それらが、とてもリアルに感じる。 自分であれば助けるのに、自分であれば手を差し伸べるのに、でも、それは傍観者の立場であると気付かされる。 綺麗事に押し隠さない、現実的な対応に思わず共感を覚える。 そして、彼自身も、決して、何も感じないわけではない。ただ、彼の強い意志が、目的の為に犠牲を厭わない姿勢が、それを覆い隠しているにすぎないのだ。 それに気づいた時点から、さらに、この作品の面白さが倍増する。 そして、ラスト、、、、。 次作の「ノームの終わりなき道程」に続いています。
財宝を目の前にした人々の強欲っぷりが面白い。宝石の丘という設定されたゴールを題材に、他者を利用し、捨て去り、それでも前へ進む欲と、時折振り返る人間らしさ。これらは、個々のキャラクターの書き分けがあるからこそ成り立つものである。強欲の中にも巧妙に希望が残されており、このあたりが日本人向きだろうか。主人公クレストフの目線で欲望まみれのファンタジーを完結まで読めた至福、作者に心からの感謝をしたい。序盤から続く伏線の回収、まことに見事でありました。
廃坑に出没する妖精の排除依頼を受けた主人公は、現地で希少な「貴き石の精霊」を見つける。思わぬ拾い物として連れ帰るも、精霊は目を離した隙に、主人公の全財産である貴石を貪り食ってしまう。怒り狂う主人公に精霊は、弁済として故郷の「宝石の丘」に案内すると提案。彼等は「宝石の丘」までの旅費を稼ぎ出す為、鉱山開発をする事に。地の精・ノームと協力関係を結び、また、坑道に現れたモンスターを隷属させる事で労働力を得て、採掘は徐々に成果を挙げて行く。しかし、近隣住民にとって、この坑道は危険なモンスターの巣くう魔窟と化しつつあったのである…”鉱山開発をしていたら、無関係の人にとっては危険なダンジョンになっていた”という、異色のダンジョン運営物です。