評価:★★★★☆ 4.1
「あのさあ、俺探偵な訳ですよ。こんなナリでも藤巻探偵事務所の代表を務めている訳ですよ。確かに不倫調査でギャラ請求するとかあんまりカッコ良く無い仕事かも知れないけど、これも立派な仕事なのよね。なのに、何で美央ちゃんは俺に心霊相談の話ばっか持って来るんで・す・か?」
昭和の香りと、それを打ち消す様な郊外型大型店舗が密集する長野市北部の巨大団地。女子大生の江守美央と木内奈津子は、ある日ひょんな事から心霊事件に巻き込まれてしまう。死期が近づき脅える彼女たちのために立ち上がったのは霊能者ではなく何と……不倫調査を生業とする、探偵であった。
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:R15
祝!探偵藤巻シリーズ化。藤巻さんと彼を取り巻く個性豊かなキャラクターたちの物語をシリーズとして読めることに深く感謝申し上げます。探偵業を生業にしている藤巻さんは霊媒師でもなければ、霊能者でもないはずなのに、美央ちゃんの持ち込む不可思議な依頼を引き受けることになる。ヘソ曲がりだけど紳士的で人がいい藤巻さんが探偵業で培った推理力と忍耐力で、得たいの知れない謎に立ち向かうホラー小説だ。ホラーなのにクスッと笑える小ネタも存分に盛り込まれており、背筋が寒くなったり、背後が妙に気になったり、顔がニヤニヤしたり、腹筋がピクピク動いたりと忙しく、これは言うなれば、底なし沼だ。沼にハマったらもう読み続けるしかない。そして毎度、想像を見事に裏切ってくれる結末は気持ちがいいほど!ただ怖いだけのホラー小説はもう終わり。クセのある濃厚なキャラクターが揃った探偵藤巻、これが新時代のホラー小説だ。