鳳凰は言った。
「世界は平和」だと。国王は言った。
「戦争が無いことが何よりだ」と。領主は言った。
「街は発展し、豊かになった」と。科学者は言った。
「優れた技術の発明で、人々はより自由になれる」と。
自由と平等の名のもとに、繁栄を極めたこの世界。
それは、果てしない人類の欲望と犠牲の上に成り立つ世界。人々は社会を分断し、自らの財産のために他人を踏み台にする。
押し付けの”大多数”によって、常識は縛り付けられる。
絶対的支配によって繁栄を見せかけ、為政者たちは意地を張りあう。
この世界は、ガラス細工のように繊細だ。そんな世界の片隅で、男は、ずっと独りぼっちだった。
狭い檻に閉じ込められ、世界が何か知らずに育った。ある日。
施設の壁が、爆発音と共に砕け散る。「……はあ!?」
壁をぶっ壊した男は、身長2m超はあるだろう、大男だ。
大男の体は、炎で包まれていた。
全身をパチパチと燃やしながら、両腕を組み、自信満々な表情だ。「よお、毒人間。ワシらと一緒に、“世界征服”、しようじゃないか。」
体から”油”が滴る混血巨人。
真っ白な体毛の獣人。
滅亡したはずの吸血鬼。そして、”毒”を操る、危険な男。
彼らは、それぞれが暗い過去を背負っていた。
彼らは、お互いがお互いに隠しごとをしているようだった。だけど、彼らは真に平等だった。
種族も、容姿も、強さも、全て関係なく、彼らはお互いを尊重していた。そんな4人は、旅に出る。
飾られた”正義”の名の元に、抑圧された人々を救うため。彼らは自らをこう呼んだ。
「アンチヒーロー」これは、世界から切り離された“マイノリティー”たちによる、復讐と反逆の物語。
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