評価:★★★☆☆ 3

十二月二十五日。竜胆竹生(十八歳)は近所の「川住書道教室」に今日も向かった。そこに着くと山田花梨(十四歳)や戸橋林檎(十四歳)、川住水仙(五十二歳)といった面子が揃っていた。花梨の書は無意識的、感情的、人間的で、一方の林檎の書は意識的、理性的、機械的だった。彼女達は竹生への好意を「竜胆竹生」と書いて表現する。二人は書の良し悪しを競うではないが、竹生をどれほど好いているかの勝負ではある、勝負ではない勝負というのを行った。その頃、水仙が見た目は美しいクリスマスケーキを持ってくる。結局彼自身がそれを食べ、食べた彼は卒倒する。花梨と林檎は竹生の書を鑑賞する。それは完璧で非の打ち所がなかった。だから二人は竹生に、書家になる夢は必ず叶うと言う。三人は本日の書を終了させて帰宅する。家に帰ってからも竹生は自身の夢の実現のために精進し続けた。十二月二十六日。竹生は川住宅で川住藍(二十二歳)と久しぶりに会う。藍は竹生の書を酷評し、竹生に「書家にはなれないのかもしれない」と言う。そう言われた竹生はすぐに自宅に戻る。彼は父母からもらった字典のことを思い出す。そしてそれを用いての書道を自室で行う。竹生は書の最中にその字典にまつわる記憶を呼び起こす。昔の自分のことや父母と交わした会話のことを思った彼は、自分は父母のために書家にならなければならないことを改めて胸に刻む。一月一日。果たし状のような年賀状によって川住宅に招かれた竹生は藍と二人で書き初めをする。それで竹生は藍に父母のための書道を示す。しかしそれが完全に表現された時、彼の目からはぽろぽろと涙がこぼれる。それは彼が父母がもういないことをようやく理解出来たから流れた。藍はそんな竹生を抱き締めつつ彼に夢を諦めて欲しいと言う。しかしそう言われた竹生はなおも書家になることを諦めない。竹生は日常へと戻っていく。


話数:全15話

登場人物
主人公属性
  • 未登録
職業・種族
  • 未登録

時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録

その他要素
注意:全年齢対象