評価:★★★★☆ 4.3
十歳の誕生日を迎えた日を境に、
おかしな胸騒ぎを感じるようになった田舎貴族の娘の私ルシア・リンクス。ひょんな事件で前世の不幸な自分の最後を見てしまって大パニック!
――……とはなったけど、しょせん前世は前世だよね。
今の生活はとっても幸せなわけだからもう気にしないで生きていこう!でもあれ、ちょっと待てよ、
何だかこの世界に見覚えがあるような?はっ、ここってもしかして、
生前やり込みまくった乙女ゲームの世界ですか?だったらのんびりなんてしてられないじゃない。
前世のこのゲーム世界の記憶が正しかったら私の推しメンが死んでしまう!幸い私は悪役令嬢でもその取り巻きでもないキングオブ・モブキャラ。
田舎貴族の娘の私に破滅エンドなんて存在しないから彼を助けてあげないと!父様、母様ごめんなさい。
私は推しメンを助ける為に三年間だけ都会に出ます!待ってて下さい推しメン様。
必ず私がルートを間違えたヒロイン様を貴方の元に戻しますから!
これはゲームに全く噛まないはずの私が推しメンを幸せにする為の奮闘記。★のマークのお話は推しメン視点でお送りします。
※無断転載は固く禁じます(うちの子は嫁にやらん)※
※この作品はアルファポリスでも掲載しています(*´ω`*)※
時代:未登録
舞台:ゲーム
雰囲気:未登録
展開:ハッピーエンド
注意:R15
乙女ゲームに転生する話は数多くあるが、これほどその設定自体を綿密に突き詰めた作品もあっただろうか。主人公ルシアが恋したのは、破滅する運命にある噛ませ犬のクラウス・スティルマン。自身も単なるモブにすぎないルシアが、それはもう人生賭けて、恋する彼とヒロインを結ぶ奮闘をするーーーというのが大筋なのだが、この作品の魅力はなんといってもキャラクターと、その心理描写だろう。ルシアがどれほどの覚悟を持って彼を救いに来たのか、喜びと苦悩の狭間に揺らぐ感情でさえ、作者は巧みに掬い取る。そして回を追う毎に、読者はその切なさに身を焦がすのだ。現在は最終話目前で、全ての謎解きがされたところである。もはや在り来たりの材料となった乙女ゲーム転生モノにおいて、きら星のように光る作品である。
主人公ルシアが転生者でヒロインでも悪役令嬢でも無いモブの一人。ありきたりなストーリーかと思ったけどルシアが推しているヒーローは、なぜにこの人という不幸人。性格も悪く人当たりも良くない。そんな印象がするがそれは誤解。そして推しメンをハッピーにすべく努力する。とても健気に努力してかわいそうになる。だが徐々に転機が訪れる。同じ転生者のオカマさんラシード。本来は攻略キャラの一人を味方につけ、徐々に運命が変わっていく。努力、努力のルシアに呆れるラシード。彼よって運命が前に進むのだが、なかなかに進まないストーリーにドキマギしながら読み進め。ありきたりでは無い裏設定に驚き、最後まで飽きることなく読める作品だと思います。