評価:★★★★☆ 4.2
もし、ウインクするだけで人を殺せたら――。
不審者に襲われ、死の間際にあったある一人の少女が手に入れたのは、右目を瞑ることで人を殺めてしまうことができる、’wink killer’と呼ばれる死神の力だった。
意図せずして最凶・最悪の力を手にしてしまった少女は、己の力に葛藤しながらも、大切な人を守るため、少しずつ自分の運命を受け入れていく。
しかし、少女が死神の力と向き合っていくうちに、少女に隠された秘密が浮き彫りになっていく――。
衝撃の結末に、あなたは戦慄し、そして涙する。
※2019/8/28 前編が完結いたしました。後編は別リンクで掲載準備中です。今しばらくお待ちくださいませ。
※沢山の素敵なレビュー、温かい感想をありがとうございます。
時代:未登録
舞台:学園
雰囲気:シリアス
展開:未登録
物語は心中しようとしてきた元カレを、【未玖】が意図せず殺してしまった場面からスタートします。その殺害手段はWink。死神の【ミタさん】から『魂を天界に転送する力』を奪ってしまった【未玖】の人生記です。【ミタさん】と【未玖】の奇妙な関係性が良く、日常(リアリティ)と非日常(ファンタジー)が上手く調和されています。心情描写が秀でており、その心の機微は本作の大きな魅力の1つです。簡単に殺してしまう力を手にした【未玖】が葛藤しながら、彼女の思う最善を選択して、Winkしていきます。考えさせられるような場面が多く、読み応えあります。その一方で、不可解な死を遂げていく『事件』として刑事が動き出しており、顛末/結末がどうなるのか気にならせます。Web小説ではあまり見られない葛藤が強く生きる作品です。必見と言えます。
一週間前に別れた元カレに襲われた少女。元カレがナイフを振り上げ、少女は恐怖で目を閉じた。が、痛みは感じない。目を開けると――絶命した元カレの姿があった。突然の事で怖くなった少女は自宅まで逃げてきた。翌朝目覚めてみると死神がいる事に気づき、その死神から驚くべき事実を聞かされる。「君が、俺の力を奪ったんだよ」その力は右目を瞑ることで、魂を死後の世界に転送する【wink killer】というもの。少女は力を返したかったが、死神は無理だと答える。力を使わない、少女は強い意志を持つ。しかし――友人に凶器を持った男が襲い掛かった時、冷たい声が殺人へと誘う。『あの男、殺しちゃえば?』テンポのいい展開、読みやすい文体であっという間に読み進めてしまう。またこの作品の良いところは殺人への罪悪感、葛藤の心理描写がしっかりと語られているところだ。大きな事件をきっかけに動き出すサスペンス展開は必見!
望まずして手に入れてしまった強力な力に翻弄される少女。その力は余りに強大で、意図しない結果を必ずもたらす。使った対象に死という結果で。その能力を望んでいない主人公は苦悩する。その罪悪が自らを苦しめる。主人公は強力な力を得ます。だが望んでいない。今時の俺TSUEEE!!ではなく、得た強大な力に苦悩し、その強大さと責任に負けそうになるが乗り越えようとする。そして、乗り越えた時は確実に強くなる。そこに魅力を感じる作品です。葛藤を抱えている人、10代の悩みを持つ方は十二分に楽しめる内容だと思います。