評価:★★★★☆ 4.2
十六歳のエルナが一人で営むパン屋に、貴族風の青年フリッツがやってきた。彼は、たった数個のパンの代金に金貨を出し、49回分の食事の前払いにすると言う。エルナは彼のために、彼が気に入ってくれた林檎のパンを毎日取り置きするようになる。フリッツが店を訪れる日や時間はバラバラで、ときどき泥だらけの姿だったり、ちょっとした怪我をしていたりする。しかし、その理由を尋ねても、彼ははぐらかすばかり。そんな彼の秘密に、エルナは巻き込まれていく。
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
パン屋を一人で営んでいる主人公エルナのもとにやって来たのは、どうやら何か訳があるような装いの青年フリッツだった。フリッツはエルナが考えた林檎のパンを気に入り、前払いと言って、大金である金貨で支払ってくる。あと49回分、林檎のパンを食べにくるというフリッツの言葉を信じて、エルナは彼が来る日を楽しみにしていた。店主とお客という仲を保ちながらも、二人はゆっくりと穏やかに相手を想う気持ちを育てて行く。だが、フリッツが抱いている大きな秘密と共に、エルナは予想していない出来事に巻き込まれてしまうのであった。読み終わった時にはきっと、甘くて美味しいパンを味わったような感覚が心を満たしていくだろう。思わずパンの優しくて甘い香りが漂ってくるこの物語をどうぞご堪能あれ。