評価:★★★★☆ 3.8
これは、海沿いの街に住む少女の何気ない日常を描いた小さな物語。
雨の日の学校の帰り道を歩いていた女子高生、藤森桐香《ふじもり きりか》は、突然奇妙な雷に打たれてしまう。それから彼女は毎晩不思議な夢を見るようになったが、それでも弟や友人と何気ない日常を過ごしていく。なんて事のない、どこにでもありそうな日々の生活の果てに、桐香が体験する出来事とは――
※サブタイトルの後に★が付いている話は、後書きに人物紹介とイラストを載せています。イラストは、フォロワーの「かめりここ」さんより頂きました。ありがとうございました!
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
紫の雷に打たれる、それは偶然か必然か。作中で直接語られることはないけれど、最後まで読めば自ずと分かります。舞台はとある港町、一人の少女、桐香の成長を描いた物語。裕福な家庭に育った桐香だけれど、その生き方や学生ならではの苦悩は誰しもが共通する部分があり、とても共感出来るものがありました。そして、桐香に襲いかかる試練は、少女に苦悩と孤独を与えるも、成長させていった。桐香の成長も去ることながら、この物語に出てくる他の登場人物の存在も光っています。最後のシーンの理沙の言葉と、それをしっかり受け止めて返す桐香のシーンは、涙が溢れるもじんわりと心温まるものでした。これはぜひ読んで欲しい作品です。心震える感動作です。そしてこの先もし私が紫の雷に打たれるような試練があっても、諦めずに走ろうと思いました。
何気ない日常を描いた一作となっていますが、その作り込みの細かさにはビックリ!まるで目の前にその光景が浮かんでくるかのような情景描写が散りばめられ、作品を彩っています。そして、このストーリーや登場人物一人ひとりもまたこの作品全体を引き立てるのです。全てが全てを引き立てあった時、そこにはこの「一作」が生まれます。「何気ない風景」「まさに青春」「どことなく懐かしい」「こんな日々を過ごしてみたかった」一話一話に感想をつけるとキリがないほど。この作品にきっと「あなた」は心を動かされる!さぁ、「あなたもこの物語の世界へ。」