追放貴族の勘違い冒険譚　～『魔王』を倒すまで俺は止まらねぇからよぉ！！！！！～

噛めば噛むほど味の出る作品です。命の大切さ、モラルを守る意味など道徳の教材として取り上げられるべき小説です。前作では誰にでも手を差し伸べるリゼ君が主人公でしたが今作ではクールなレイン君が主役を務めています。それでも困った人、助けを求めている人を支えるその姿はこれからの日本に期待される若者のあるべき姿を重ねずにはいられません。これからのレイン君の活躍に期待を込めて、乾杯！

もっともドス黒い邪悪とは、自らが悪であることに気づいていない者。つまり本作の主人公です。前作主人公が最初は領民に下手に出ていたのに対し、今作主人公は初っ端から全方位天上天下唯我独尊！相手が誰だろうと正義(自称)の名の下に鉄槌！圧殺！斬殺！虐殺！！大虐殺！！！ジェイソンでもここまでしねーよ！更にはヒロインもマイナス進化！煽り運転からの強盗殺人をやらかす斬新なキャラだ！！おまけにコイツのせいで住民が重税で苦しむことになるが、それは本編を見てからのお楽しみ！！ここでは伏せておくぜ！この作品大丈夫？怒られない？そんなバイオレンスなろう系俺TUEEEファンタジーとなってるよ！！なおホントに主人公は強い。そしてキチガイだ。あとは分かるね？馬路まんじ先生の今後のご活躍を応援してあげて下さい！！この作品が運営から見逃されている内に！！

欲望に忠実で倫理観が斜め上に振り切れた追放貴族レインが、腕力にものを言わせて正義（勘違い）を貫く話です。前作完結から間を置かずスタートした本作。当方、性格の悪い読者なので（セルフ二番煎じ…？）と多少警戒しつつ様子見。結果として、４話まで読んだところでブックマークしました。大丈夫、ちゃんと茶葉は入れ替えられています。むしろ濃茶になってる。前作主人公リゼくんが回復チート持ちで、いくら犠牲が出ようがリカバーでき、命の重さを逆説的に考えさせてくれたのに対し、レインくんは命の儚さを叩きつけてくるタイプです。クズ度高い。そのくせ見た目は品がよくて女の子みたいって反則か。序盤のうちから、このままでは世界が焦土と化してしまうのではないか…というヒリヒリした危惧を抱かせてくれます。抜群のバランス感覚で狂気と正義を綱渡りしつつ、負のピタゴラスイッチが帰結する様が見られることを期待します。