評価:★★★★☆ 3.5
「君の本当の神様は誰だい?」
世界大戦の最中、裕福な家庭に生まれ、頭が良く人を惹きつけるカリスマ性のあるアレスと、両親を知らずに孤児院で育ち、アレスばかりを盲目的に見つめる弟分のイディ。ある日、アレスの元に敬愛する母の訃報が届く。「死もまた神の導きである」と母を見放した国教への反感から、宗教にのめり込んでいくアレス。そんな中で出会った『イデアの肖像』という一冊の本。それはある男が、救いを求めて自らの『イデア』を作り上げる過程を記した記録であった。
自らを神と定め、自身の救済に狂いその面影をなくしていくアレスと、アレスを狂気から救おうとするイディ。破綻していく二人の世界に油を注ぐように、アレスを狂信的に慕う青年エフィからアレスに『神の啓示』が舞い降りた。
愛を知らぬままにそれぞれの『イデア』を追い求め、すれ違う三人の青年の物語。