評価:★★★★☆ 4.1
美しい男爵令嬢ジャスティーナは、その気位の高さが仇となり、魔女の呪いによって醜い顔に変えられた。婚約破棄されるわ、態度がまったく変わってしまった父に怒り、彼女は家を飛び出してしまった。そうして森に迷い込み、昆虫男爵に出会ったことで、彼女の世界は変わっていく。1話ごとの文字数ばらばら(1400-3000文字)です。カクヨムでも連載。
時代:未登録
舞台:異世界
雰囲気:未登録
展開:ハッピーエンド
注意:全年齢対象
完結日:2019年11月13日
作者:ありま氷炎
ヒーローはその名も「昆虫男爵」と呼ばれているイーサン・デイビス。昆虫のような容姿のゆえにあざけられ、人目を避けて暮らしている。いつかこの顔が普通になって、普通の人のように暮らせたら。そんな子どもの頃の願いを諦めて生きている彼は、自分の代でこの血を絶やそうとまで考えている。だって、希望がないから。初めて覚えた恋ですら、容姿のゆえに手を伸ばせない。せめて普通の人のようであったなら。信じられた言葉もあったのに。美しい令嬢を前にしてそれ以上踏み込めない彼の苦悩と心情描写は号泣モノ。「イーサン!おまえ幸せになれよ!!!」と叫びたくなる。フェアリーキス大賞1次通過の折り紙付き。全第三部、完結済みで、週末の一気読みにもちょうどいい文量。正直に言おう。わたしは、本当におもしろかった。
美人が多い社交界でも主人公になれる美貌の持ち主、それがジャスティーナ。だが、彼女は魔女を怒らせたために顔を醜くされてしまう。家での扱いにも我慢していたものの、耐えきれず彼女は逃げた。そこで出会ったのが、昆虫によく似た顔の男性だった。ここから話がスタートする。自分が持っているコンプレックス。優位ゆえに気がつけなかったこと。普通に生きていても、そんなことはあると思う。この作品の面白さは、主人公ジャスティーナの内面の変化だと思う。ただれていた精神が緩やかに絆されていく感じが、良い!普通に接されることで心安らかになれば、見えてくるものもあるってこと。自分を見つめなおす機会を得るって、なかなか得難いな、と思う。ハラハラしつつもハッピーエンドな話が読みたい。そんな人にうってつけの作品です!