ハーレ・ムーン建国譚〜魅力値999で猛女にかこまれ世界最強に君臨す〜

　小さな村落で生まれ育った少年ラル・クロニクルは、幼い頃から乱れのない信念を持っていた。

　健全な男の子なら誰もが願ったことのある「美女ハーレム」を、いつか実現すること。

　それが彼を突き動かし続けた。
　雑魚敵を駆逐すること十年の月日が流れた。

　そして、十八歳。待ちに待った、ステータス割り振りの日。レベルは最大。今まで溜め込んでいた、人生で得られる全ての強化ポイントを「魅力値」に注ぎ込む。
　攻撃、防御、魔力、素早さ、全ての誘惑に耐え抜いて、ラルは世界最強の魅力を手にする。

　満面の笑みで、今までの努力を象徴する拳を振り上げた。

「これで夢が叶う……ハーレムだ！」
　魅力値999。カウンターストップ。

　しかし、ラルの周囲に集まってきたのは、歴戦の猛者をも軽々と超越する猛女ばかりで……。
「思ってたハーレムと違うんだが！？」
　一般人の女性が近寄れない凶悪なオーラを彷彿とさせる猛女たち。

「あぁ、これじゃあ俺のハーレム計画が………………ま、でも、可愛いからいいか」